
生活介護の運営指導(旧実地指導)では、日頃の事業所運営や支援の状況について、さまざまな書類や記録をもとに確認が行われます。
運営指導の通知が届いて、
「ついに来てしまった。うちの現状で大丈夫かな?」
「記録はたくさんあるけれど、この内容で間違っていないかな?」
「真面目にやってきたけれど、大きな返還につながったりしないだろうか?」
と、ご不安を感じる事業所様も少なくありません。
➡ 【障がい福祉】運営指導(旧実地指導)|通知が来たら何する?
運営指導は、障がい福祉サービス事業者が適切に運営できているかを確認し、必要な助言や指導を行うことを目的としています。
そのため、過度に怖がる必要はありませんが、反対に「普段から真面目に支援しているから大丈夫」と楽観視するのではなく、必要な書類や記録、実際の運用状況について適切に準備しておくことが大切です。
当事務所では、これまで障がい福祉サービス事業所の運営指導に向けた事前の書類点検に数多く携わり、生活介護の書類点検や運営指導への対応も経験してきました。
この記事では、これまでの実務経験をもとに、生活介護の運営指導で指摘されやすい10項目を、チェックリスト形式でご紹介します。
事業所内での自主点検はとても大切ですが、自分が正しいと思っている運用は、自分たちだけでは気づきにくいものです。
「うちは大丈夫かな?」と思われた事業所様は、ぜひ現在の運営状況や書類と照らし合わせながら記事を読んでみてください。
当事務所の運営指導への対応内容や費用を先に確認したい方は、こちらからご覧いただけます。
1 人員配置
生活介護の運営指導では、管理者、サービス管理責任者、生活支援員、看護職員、医師など、基準上必要となる人員が適切に配置されているか確認されます。
また、算定している加算等によっては、基本となる人員配置だけではなく、それぞれの算定要件を満たすために必要な職員が配置されているかについても確認が必要です。
□ 前年度平均利用者数・平均障害支援区分に応じた適切な人員配置ができていない期間があった
□ 「常勤=正社員」という認識だったため、障害者総合支援法上の常勤配置と認められない勤務実態だった
□ 医師を配置しているとしていたが、実態として医師の勤務がない状態だった
□ 算定している加算に必要な職員配置ができていない期間があった 等
解説
生活介護の人員配置についても、単純に「職員の人数が足りているか」だけを確認すればよいものではありません。
前年度の平均利用者数・平均障害支援区分をもとに必要となる人員を確認したうえで、職種ごとに必要な配置ができているか確認しておく必要があります。
また、基本となる人員配置を満たしていても、算定している加算によって追加の人員配置が必要となる場合や、人員配置の状況によって減算の対象となる場合があります。
生活介護では、人員配置体制加算や重度障害者支援加算を算定している事業所も多いと思います。
それぞれの算定要件を確認し、「基準人員に加えて、常勤換算でどれだけの職員を配置する必要があるのか」「必要な研修修了者の人数は足りているのか」などについて、毎月の勤務予定・実績を作成する際に確認しておくことがとても重要です。
日々の支援に追われていると、こうした確認はどうしても後回しになりがちです。
しかし、毎月の利用実績を平均利用者数・平均障害支援区分の管理表に入力しておくことで、翌年度に必要となる職員数を事前に予測することができます。
そのうえで、「来年度は何人の職員が必要になるのか」「採用が必要なのか」「研修を何人に受講してもらう必要があるのか」を早めに把握し、採用や研修の計画につなげておくことが大切です。
こうした確認を日頃から行っておくことは、運営指導への対策だけではなく、適切な人員配置を維持し、安定して事業を運営していくことにもつながります。
運営指導の直前だけではなく、日頃から確認する習慣をつけておきましょう。
勤務予定・実績一覧表や前年度の平均利用者数等を算定する様式については、指定権者が様式を公開している場合がありますので、それぞれの指定権者の様式をご確認ください。
大阪市については、以下のページに勤務予定・実績一覧表や前年度平均利用者数等の算定に使用する様式が掲載されています。
2 従業員関係書類
生活介護の運営指導では、配置している従業員の雇用関係や実際の勤務状況についても、書類をもとに確認されます。
雇用契約書(労働条件通知書)や秘密保持に関する書類、資格証、研修修了証、タイムカード、給与台帳など、職員ごとに必要な書類が揃っているか確認しておきましょう。
□ 有期雇用の職員について、雇用契約の更新ができていなかった
□ 秘密保持について、従業員から必要な誓約書等を取得していなかった
□ 健康診断が必要な職員について、適切に実施されていなかった
□ 勤務実態と雇用契約書やタイムカード等の内容に相違があった 等
解説
運営指導では、職員が在籍しているということだけではなく、雇用関係や実際の勤務状況を確認できる書類が適切に整備されているかについても確認されます。
資格証や研修修了証のコピーをもらい忘れていないか、有期雇用の職員について雇用契約書の更新ができているかなど、改めて確認しておきましょう。
また、職員は業務上、利用者やその家族の個人情報を取り扱います。
在職中だけではなく、退職後についても秘密保持が必要となるため、採用時に必要な書類を取得し、適切に保管しておくことが大切です。
職員が退職してから書類の不足に気づいても、後から取得することが難しくなる場合があります。
そのほか、職員の勤務状況等によっては、健康診断や社会保険など、関係法令に基づいた対応も必要となります。
採用時に一度書類を揃えて終わりにするのではなく、契約更新や勤務条件の変更があったときにも、必要な書類が整っているか確認する習慣をつけておきましょう。
3 個別支援計画とモニタリング
個別支援計画は、利用者一人ひとりの希望や心身の状況、必要な支援等を踏まえ、支援目標や具体的な支援内容を定める、サービス提供の基本となる重要な書類です。
個別支援計画は、単に計画書を作成しておけばよいものではありません。
個別支援計画の不備は報酬返還につながる可能性もあるため、特に注意して確認しておきたい項目です。
□ アセスメントから個別支援計画作成までの一連の手順に不備があった
□ 個別支援計画の作成者が適切ではなく、有効な個別支援計画として認められなかった
□ 古い様式を使用しており、個別支援計画に標準的な支援時間の記載がなかった
□ 個別支援計画について利用者(保護者)の同意を得ていなかった
□ モニタリングが必要な時期に実施されていなかった 等
解説
生活介護では、利用者の希望や心身の状況、障害特性などを踏まえながら支援を行うことになりますが、個別支援計画の内容と実際に行っている支援がつながっているかも重要です。
運営指導では、個別支援計画だけを確認するのではなく、アセスメントや個別支援会議、モニタリングなどの関連書類を含め、一連のプロセスが適切に行われ、その記録が残されているかについて確認されます。
書類自体は一通り揃っていても、作成の手順や時期、作成体制などに不備があり、指摘につながるケースもあります。
また、令和6年度報酬改定により、生活介護では、個別支援計画に定めた標準的な支援時間に応じて報酬を算定することが基本となりました。
そのため、以前から使用している個別支援計画の様式をそのまま使い続けている場合には、現在必要となる「標準的な支援時間」の項目が反映されているかについても確認しておきましょう。
令和6年度報酬改定の詳しい内容については、以下の記事にまとめていますので、ご参考になさってください。
個別支援計画やモニタリングの不備は、内容によっては減算や報酬返還につながる可能性があります。
個別支援計画については、作成に必要な記録、作成時期、作成者、記載内容など、確認しておきたいポイントが数多くあります。
減算や報酬返還につながらないよう、日頃から適切に作成・管理できているか確認しておきましょう。
4 サービス提供実績記録票
この書類は、実際に提供したサービス実績を記録し、報酬請求の根拠となる重要な書類です。
運営指導では、サービス提供実績記録票が適切に作成されているかだけではなく、実際の利用状況や他の記録と内容が一致しているかについても確認されます。
□ サービス提供実績記録票について、利用者による確認印(署名等)がなかった
□ 実際の利用日や利用時間等と実績記録票の内容に相違があった
□ 報酬改定前の古い書式を使用しており、算定時間や加算等について必要な記載がなかった
□ 送迎記録やサービス提供記録など、他の記録と実績記録票の内容が一致していなかった 等
解説
サービス提供実績記録票で特に注意したいのが、利用者による確認と、実際の利用状況や他の記録との整合性です。
毎月の実績を記録して保管しておくだけではなく、実際の利用状況が正しく記録され、その内容について利用者の確認を得ておく必要があります。
運営指導では、
「請求するときに、どの書類を確認して請求していますか?」
と質問されることがあります。
日頃の請求では、サービス提供実績記録票やサービス提供記録等を確認し、利用実績や算定内容に誤りがないか確認しながら請求されていると思います。
そのため、サービス提供実績記録票の記載内容が正しくなければ、日頃の報酬請求についても適切に確認できているのか疑問を持たれる可能性があります。
また、令和6年度報酬改定により、生活介護のサービス提供実績記録票の書式も変更され、記載すべき事項が増えています。
以前の書式をそのまま使用していないか、確認しておきましょう。
古い書式のままでは、請求内容の確認が十分にできないだけではなく、利用者にもサービス提供の内容を適切に確認してもらうことができません。
利用者の確認がなく、サービス提供の事実を十分に確認できない場合には、報酬返還につながる可能性もあります。
利用者からの確認は後回しにしないようにしましょう。
また、運営指導ではサービス提供実績記録票だけを単独で確認するのではなく、サービス提供記録や送迎記録などの関連書類と照らし合わせて確認されることがあります。
実績記録票と他の記録で利用日や利用時間等が異なっていると、実際の利用状況が分からなくなってしまいます。
実績記録票と他の記録との相違は、報酬請求の内容にも影響する可能性があります。
毎月の請求時だけではなく、利用者の確認漏れや、他の記録との相違がないかについても確認しておきましょう。
5 サービス提供記録と加算根拠資料
生活介護では、利用者に対して行った支援について、その内容を記録として残しておく必要があります。
運営指導では、単にサービス提供記録が作成されているかだけではなく、利用者がその日どのように過ごし、どのような活動を行い、利用者の状態に応じて事業所がどのような支援を行ったのかが記録から確認できることが大切です。
また、送迎や食事の提供、入浴、欠席時の対応などについて加算等を算定している場合には、算定要件を満たしていることが確認できる記録や根拠資料についても、適切に作成・保管しておく必要があります。
□ サービス提供記録の内容が薄く、利用者のその日の状況や実際に行った支援内容が確認できなかった
□ 毎日同じような記載になっており、利用者一人ひとりの状態や支援内容が記録から確認できなかった
□ 送迎を行っているが、実際の送迎状況を確認できる記録がない
□ 医師を配置しているが、医師が行った健康管理等についての記録がなかった
□ 食事提供体制加算を算定しているが、算定要件を満たしていることを確認できる書類がない
□ 欠席時対応加算を算定しているが、必要な対応や記録に不備があった 等
解説
サービス提供記録は、単に「その日に利用があった」ということだけを記録するものではありません。
生活介護では、利用者がその日どのように過ごしていたのか、どのような活動を行ったのか、利用者の状態はどうだったのか、その中で職員がどのような支援を行ったのかなど、実際のサービス提供の内容が記録から確認できることが大切です。
毎日記録を作成していても、記載内容が簡単なものばかりであったり、毎日同じような内容になっていたりすると、利用者の状況や実際に行われた支援が記録から分からない状態になってしまいます。
また、加算を算定している場合には、それぞれに定められた算定要件を満たしたうえで、そのことを後から確認できる記録や根拠資料を残しておく必要があります。
生活介護では、送迎や食事提供、入浴、欠席時の対応、リハビリ、創作活動など、事業所によってさまざまな支援が行われています。
加算を算定している場合には、その算定要件を満たしていることが分かる記録を残す必要があります。また、利用者の様子や実際に行った支援、相談対応などについても、後から確認できるよう記録しておくことが大切です。
特に、医師を配置している場合には、「医師が配置されている」ということだけではなく、実際に医師がどのように利用者の健康管理を行ったのか、その内容を記録として残しておきましょう。
「今日は忙しいから記録は明日にまわそう」と、日々の支援に追われて記録が後回しになってしまうと、後から作成した記録と他の書類との整合性が取れなくなり、「実際はどれが正しいのですか?」ということにもなりかねません。
後日まとめて記録を作成すると、どうしても記載漏れや記憶違いが生じやすくなります。
現場が忙しく、記録までなかなか手が回らないという事情はよく分かります。
それでも、記録はできるだけ後回しにせず、その日の利用者の状況や支援内容を、その日のうちに残しておくことが大切です。
事業所を守るためにも、日々行っている支援とその記録が一致しているか、また、算定している報酬や加算について事業所自身が正しく理解し、必要な記録や根拠資料を残しておきましょう。
6 重度障害者支援加算
生活介護では、重度障害者支援加算を算定されている事業所様も多いのではないでしょうか。
当事務所の関与先でも、取得率の高い加算の一つです。
重度障害者支援加算は、運営指導でも算定要件や必要な記録等について確認しておきたい項目の一つです。
どのような点に注意しておく必要があるのか、確認していきましょう。
【重度障害者支援加算(Ⅱ)(Ⅲ)】
□ 利用者の増加に伴い非常勤職員を多数雇用した結果、生活支援員のうち基礎研修修了者の割合が20%未満となっていた
□ 支援計画シート等の見直しや観察について、適切に実施していることが確認できる記録がなかった
□ 支援計画シート・支援手順書が作成されていなかった 等
【重度障害者支援加算(Ⅰ)】
□ 看護職員の退職や勤務時間の変更等により、看護職員の配置が常勤換算で3.0を下回っていた 等
解説
重度障害者支援加算は、一度算定要件を満たして届出を行えば、その後も自動的に算定し続けられるものではありません。
職員の退職や勤務時間の変更、新たな職員の採用、利用者の増加など、事業所の状況が変わることで、知らないうちに算定要件を満たさなくなっていることがあります。
【重度障害者支援加算(Ⅱ)(Ⅲ)】
重度障害者支援加算(Ⅱ)(Ⅲ)では、必要な研修を修了した職員の配置だけではなく、支援計画シート等の作成や、それに基づく支援、定期的な見直しなど、実際の支援体制についても確認しておく必要があります。
特に注意したいのが、職員の増加による研修修了者の割合です。
利用者が増えたことで生活支援員を増員したものの、新たに採用した職員が基礎研修を修了しておらず、生活支援員のうち基礎研修修了者が占める割合が20%を下回ってしまうことがあります。
加算の取得時には要件を満たしていても、その後の採用や退職によって職員構成は変わります。
「研修修了者が何人いるか」だけを見るのではなく、現在配置している生活支援員全体に対して必要な割合を満たしているか、職員の増減があった際には改めて確認しておきましょう。
そのためにも、勤務予定・実績一覧表を毎月作成し、基本となる人員配置を満たしているかだけではなく、基礎研修修了者の割合についてもあわせて確認しておくことが重要です。
また、指定権者が公表している前年度平均利用者数等を算定するExcelシートも、実務上とても重要です。
毎月の利用実績を入力しておくことで、翌年度に必要となる人員配置を予測し、
「来年度も現在の人員配置体制加算の算定要件を満たせそうか」
「来年度はどのくらいの職員配置が必要になりそうか」
「職員の採用を進める必要があるか」
「基礎研修を何人に受講してもらう必要があるか」
などを早めに確認することができます。
年度が変わってから慌てて対応するのではなく、利用者数や職員配置の変化を確認しながら、必要に応じて採用計画の見直しや研修受講を進めておきましょう。
また、支援計画シートや支援手順書についても、作成して終わりではありません。
利用者の状態や実際の支援状況を観察し、定期的に支援内容を見直していくとともに、見直しや観察を適切に行っていることが後から確認できるよう、記録を残しておくことが大切です。
支援計画シート等が作成されていても、その後の見直しや観察を行った記録がなければ、実際にどのように支援へ活用していたのか確認することができません。
【重度障害者支援加算(Ⅰ)】
重度障害者支援加算(Ⅰ)についても、職員の退職や勤務時間の変更には注意が必要です。
特に看護職員については、常勤換算で3.0以上の配置が必要となるため、取得時には要件を満たしていても、看護職員の退職や勤務時間の減少などによって、常勤換算3.0を下回ってしまうことがあります。
人員配置は月ごとに変わる可能性があります。
加算を取得した時点だけで安心せず、毎月の勤務予定・実績一覧表を作成する際に、現在の職員配置で算定要件を満たしているか確認する習慣をつけておきましょう。
重度障害者支援加算は、職員配置、研修の受講状況、支援計画シート等の作成・見直し、日々の支援記録など、確認しておきたい項目が多い加算です。
運営指導の通知が届いてから慌てて確認するのではなく、職員の入退職や勤務時間の変更、利用者の増加などがあったタイミングで、算定要件を満たしているか改めて確認しておくことが大切です。
7 運営規程と重要事項説明書
運営規程は、事業所の運営に関する基本事項を定めたもので、指定権者へ提出している書類です。
重要事項説明書は、運営規程の内容を踏まえ、利用者にサービス内容や利用条件等の重要事項を説明するための書類です。
運営指導では、それぞれの書類に必要な事項が記載されているかだけではなく、運営規程・重要事項説明書・実際の事業所運営の内容が一致しているかについても確認されます。
□ 運営規程と重要事項説明書の記載内容に相違があった
□ 営業時間やサービス提供時間、従業者の職種・員数などが現在の運営状況と異なっていた
□ 制度改正や報酬改定等による変更が反映されていなかった
□ 障害特性に応じた重要事項説明書が作成されていなかった
□ 重要事項について、契約時だけでなく変更時にも、利用者への説明や同意等が適切に行われていなかった 等
解説
指定申請時に運営規程を作成したまま、変更届を提出することなく、事業所の営業時間やサービス提供時間、営業日などを変更してしまっていることはありませんか?
例えば、
「当初は祝日を休業日にしていたけれど、連休が続くため、利用者からの要望を受けて祝日も営業することにした」
このように、実際の事業所運営を変更したものの、運営規程は指定申請時のままになっているということがあります。
運営規程に記載している事項に変更が生じた場合には、指定権者への変更届の提出が必要となる場合があります。
よく拝見するのが、変更届は提出しないまま、新しく契約する利用者用の重要事項説明書のひな形だけを変更しているケースです。
変更の都度、必要な箇所だけを修正していくうちに、基本となる運営規程と重要事項説明書の記載内容が合わなくなったり、実際の事業所運営とも相違が生じたりすることがあります。
また、制度改正や報酬改定によって書類の見直しが必要となることもありますので、変更箇所だけではなく、定期的に書類全体の内容を確認しておくことも大切です。
さらに、重要事項説明書は、利用者との契約時に説明・同意等を得て終わりではありません。
重要事項説明書を変更した際、新しく契約する利用者には変更後の内容を説明していても、すでに契約している利用者への説明や同意等を忘れているケースもあります。
重要事項説明書の内容を変更した場合には、新規利用者だけではなく、既存の利用者への対応についても忘れずに確認しておきましょう。
また、障がい福祉サービスでは、利用者の障害特性に応じて重要事項を適切に説明できるよう、「ルビ版」「拡大文字版」「録音版」「点字版」の中から2種類の重要事項説明書を作成しておく必要があります。
通常の重要事項説明書だけではなく、こうした障害特性に応じた重要事項説明書についても、必要なものが作成・整備されているか確認しておきましょう。
運営規程や重要事項説明書は、指定申請や契約の際に一度作成すると、その後はなかなか全体を見直す機会がない書類でもあります。
運営指導の前だけではなく、事業所の運営内容を変更したときや、制度改正・報酬改定があった際には、「運営規程」「重要事項説明書」「実際の事業所運営」の3つに相違がないか、一緒に確認しておきましょう。
8 各種委員会
現在、生活介護において、「虐待防止委員会」「身体拘束適正化委員会」「感染症対策委員会」について、必要な体制を整備し、定期的に開催する必要があります。
運営指導ではどのような点が確認されるのか、また、生活介護事業所における委員会の実務的な視点についても確認していきたいと思います。
□ 委員会を設置しているが、必要な頻度で開催されていなかった
□ 委員会は開催しているが、議事録が作成・保管されていなかった
□ 職員の入退職等により委員会の構成員が変わっているが、以前の構成員のままになっていた
□ 検討すべき事案が発生しているにもかかわらず、委員会で検討されていなかった
□ 議事録は作成していたが、大切に保管されているだけで、職員への周知が行われていなかった
□ 減算すべき状態であったにもかかわらず、適切に減算していなかった 等
解説
虐待防止委員会、身体拘束適正化委員会の設置は令和4年度から義務化され、感染対策委員会についても令和6年度から義務化されています。
また、必要な措置が講じられていない場合、身体拘束廃止未実施減算は令和5年度から、虐待防止措置未実施減算は令和6年度から適用されています。
義務化された際に委員会を設置したものの、その後の運用が適切に行われておらず、本来は減算しなければならなかった期間について通常どおり報酬を請求していたことが、運営指導で判明することもあります。
その場合、「委員会を開催してください」という指摘だけでは終わらず、報酬返還につながる可能性もあるため注意が必要です。
また、運営指導では、
「利用者について、身体拘束が必要となるようなケースはありませんか?」
というような質問をされることがあります。
身体拘束適正化の取組が義務化されたことで、「身体拘束は一切してはいけない」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、禁止されているのは、正当な理由なく利用者の身体を拘束することです。
やむを得ず身体拘束等を行う場合には、「切迫性」「非代替性」「一時性」の3要件をすべて満たしていることを確認し、その態様や時間、利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由など、必要な事項を記録しておく必要があります。
記録を残すことは、単に運営指導のために必要なのではありません。
「なぜその対応が必要だったのか」
「ほかの方法では対応できなかったのか」
「必要最小限の時間であったのか」
などを客観的に確認できるようにしておくことは、利用者を守るとともに、事業所や職員を守ることにもつながります。
身体拘束が必要となる可能性のある利用者がいるのであれば、「身体拘束はしてはいけないから」とそこで思考を止めるのではなく、委員会でも検討し、適切な手続きや記録を行ったうえで支援できる体制を整えておきましょう。
各種委員会は、開催して議事録を作成すれば終わりというものではありません。
日々の支援の中で起きていることを委員会で検討し、その内容を職員へ周知し、今後の支援や事業所運営に反映していくことが大切です。
また、委員会の開催だけではなく、議事録、指針、研修、担当者の選任など、それぞれ必要となる取組についても確認しておきましょう。
運営指導の前だけではなく、職員の入退職等による体制の変更も含め、必要な取組が継続して行われているか定期的に確認しておくことが大切です。
9 法定研修
生活介護では、虐待防止や身体拘束適正化、感染症対策、BCP(業務継続計画)など、職員に対して実施が必要となる研修があります。
運営指導では、必要な研修が適切に実施されているかだけではなく、対象となる職員が受講しているか、また、そのことを記録から確認できるかについても確認されます。
□ 必要な研修が実施されていなかった
□ 研修は実施していたが、実施記録や研修資料等が残されていなかった
□ 一部の職員が研修を受講しておらず、未受講のままになっていた
□ 新しく入職した職員について、必要な研修が実施されていなかった 等
解説
事業所でさまざまな研修を実施していても、必須となっている研修が抜けていたり、必要な時期に実施できていなかったりすることがあります。
また、事業所として研修を実施していても、職員のシフト等によって、「この職員だけ受講していなかった」ということもあります。
また、年間研修計画とは別に、新規採用時に別途受講が必要な研修もあります。
年間研修計画を作成し、必要な研修に漏れがないか確認するとともに、職員ごとの受講状況についても管理しておきましょう。
研修を実施した際には、実施日、研修内容、受講者等について記録を残しておくことも大切です。
「研修はやっているから大丈夫」ではなく、「必要な研修を、必要な職員が受講し、その記録が残っているか」まで確認しておきましょう。
10 BCP(業務継続計画)
感染症の流行や大規模な災害が発生すると、職員が出勤できない、送迎ができない、食事の提供が難しくなるなど、普段どおりの支援を続けることが難しくなる場合があります。
そのような状況でも、利用者に必要な支援をできる限り継続できるよう、生活介護事業所ではBCP(業務継続計画)を策定し、平時から必要な準備をしておくことが求められています。
□ 感染症・災害に対応したBCPが整備されていなかった
□ BCPに基づく研修や訓練を実施していなかった
□ 研修や訓練を実施した記録が残されていなかった
□ BCPを作成したまま、事業所の現状に合わせた見直しを行っていなかった 等
解説
BCPで大切なのは、「計画書があること」ではなく、実際に非常事態が起きたときに使える内容になっていることです。
例えば、職員の多くが出勤できなくなったとき、限られた職員でどのように支援を継続するのか。
送迎ができなくなった場合や、食事を通常どおり提供できなくなった場合にはどうするのか。
日常的に多くの支援を必要とする利用者がいる生活介護だからこそ、非常時に何を優先し、どのように支援を継続するのかを事業所内で共有しておくことが大切です。
また、計画を作成しただけでは、実際に対応できるかどうかは分かりません。
研修や訓練を通して課題を確認し、必要に応じて内容を見直しながら、「いざというときに職員が動けるBCP」になっているか確認しておきましょう。
また、BCPが作成されていなければ、業務継続計画未策定減算の対象となる可能性もあるため注意が必要です。
「で、うちは大丈夫ですか?」というご相談
ここまで生活介護の運営指導で確認しておきたい事項をご紹介してきました。
実際に事業所様からご相談を受けて、一通りお話を伺ったあとによく聞かれるのが、
「で、うちは大丈夫ですか?」
というご質問です。
「書類は一通り作っているし、研修や委員会もやっている。利用者さんへの支援もちゃんとしている。でも、これが正しいのか分からないし、今さら聞けない」
という不安を持たれている事業所様は少なくありません。
生活介護では、人員配置や個別支援計画、日々のサービス提供記録だけではなく、平均障害支援区分に応じた職員配置、重度障害者支援加算をはじめとする各種加算、医師や看護職員の配置など、事業所の運営状況に応じて確認しておかなければならない事項が数多くあります。
そして、これらは一つひとつを別々に確認すればよいというものでもありません。
「この加算を算定しているから、この対応が必要になる。そうすると、こちらの書類にもその内容が反映されていなければおかしい」
というように、それぞれが関連していることも多く、全体をつなげて確認する必要があります。
また、算定している加算等によっては、基準人員とは別に必要となる人員配置があり、実際にその職員が勤務していたことを確認できる記録も必要になります。
人員配置や実際の支援、報酬請求の内容と、それを裏付ける書類や記録がきちんとつながっているかという視点が大切です。
そして、自分たちでは「これで大丈夫」と思っていることは、人から指摘されない限り、何度自分たちで見直しても、その間違いに気づきにくいのが現実です。
実際に第三者が確認することで、
「え!?これで合っていると思っていました。運営指導の前に気づけて良かったです」
という問題点が見つかることもあります。
運営指導のためだけではなく、今後も安心して事業所を運営していくために、一度第三者の視点から現在の書類や運営状況を確認してみることも大切だと思います。
当事務所がお手伝いできること
運営指導では、今回ご紹介した項目以外にも、事業所の運営状況や算定している加算、実施している支援等に応じて、さまざまな書類や記録について確認が行われます。
当事務所では、生活介護の運営指導に向けて、実際の書類と事業所の運営状況を照らし合わせながら事前点検を行っています。
また、運営指導の通知が届いた場合には、事前準備から運営指導当日の立ち会いまで対応しています。
ご依頼の流れ
① お問い合わせ・ご契約
お問い合わせ後、現在の状況や運営指導の実施予定などをお伺いし、サポート内容をご説明したうえでご契約となります。
② 運営指導通知の確認
運営指導の通知書を確認し、実施日、事前提出書類、当日準備が必要な書類などを確認します。
③ 1回目の訪問・事前提出書類の確認
事業所を訪問し、事前提出書類を中心に内容を確認します。行政への提出前に確認を行い、必要な準備を進めます。
④ 2回目の訪問・運営指導に向けた最終確認
運営指導当日に確認される書類や運営状況などを確認し、当日に向けた準備を行います。
⑤ 運営指導当日の立ち会い
原則として、運営指導当日は行政書士が事業所に伺い、立ち会います。
ただし、他の業務等との日程の都合により、立ち会いができない場合があります。
※原則として事前訪問は2回を予定しています。事業所の状況等により3回目以降の訪問が必要となる場合は、別途料金が発生します。
ご依頼いただいた事業所様からのお声
運営指導終了後に、
「事前に見てもらっていたので、落ち着いて当日を迎えることができました。お願いして良かったです」
「初めての運営指導で心細かったので、一緒にいてもらえるだけでも心強かったです」
といったお声をいただくことがあります。
特に初めての運営指導では、どのようなことを聞かれるのか、どの書類を確認されるのか分からず、不安を感じる方も少なくありません。
事前に書類や運用状況を確認して必要な準備を行い、当日の立ち会いまでサポートすることで、少しでも安心して運営指導を迎えていただけるよう対応しています。
運営指導の通知が届く前の書類点検
運営指導について、
「通知が届いてから準備すればいい」
と考えている事業所様もあるかもしれません。
しかし、指定権者によって運営指導の実施方法は異なり、メールで通知が届き、事前提出書類の提出を求められることなく、通知から1週間程度で運営指導が実施されるケースもあります。
メールの確認が遅れ、気づいたときには運営指導の直前だった、ということもあり得ます。
また、障がい福祉サービスは、報酬改定等により加算の算定要件や運営上必要となる対応が変わることがあります。
運営指導の直前になって慌てて書類を確認するのではなく、当事務所では、通知が届いていない段階での定期的な書類点検もおすすめしています。
「自分たちでは一通り確認したけれど、本当にこれで合っているのだろうか?」
少しでもご不安がある場合には、運営指導の通知が届く前に、一度事業所の運営状況や書類を確認してみませんか?
また、顧問先の事業所様には、定期的な書類点検のほか、報酬改定等に関する情報提供も行っております。
運営指導・書類点検の料金
運営指導の通知が届いた後の直前対策や、通知が届く前に行う書類点検を承っております。
【通知後】運営指導・書類点検(直前対策):198,000円~(税込)
※事業所の規模やサービス種別等により料金が異なります。
詳しいサポート内容やその他の料金については、以下のページをご確認ください。
※運営指導における指摘事項の有無や内容について、結果を保証するものではありません。
まずは、電話かメールにてお気軽にお問い合わせください。
行政書士 古山 紀子
行政書士未来法務事務所 代表
行政書士登録番号 第19260974号
令和元年5月1日 行政書士登録
行政書士登録以前から障がい福祉分野に携わり、障がい福祉サービス事業を専門に、指定から運営指導までサポートしています。
→ 代表プロフィール


