就労移行支援、就労継続支援A型・B型には、事業所内で生産活動等を行うのとは別に、企業から作業を請負い、その企業内で利用者が作業を行う『施設外就労』というものがあります。
施設外就労を行う事で、利用者の能力や働く意欲の向上、工賃の向上などが見込まれており、既に実施されている事業所様も多いかと思います。
施設外就労を適正に行うためには、色々なルールがありますので、ご注意ください。
➡ 就労移行支援事業就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について
施設外就労の5つの要件
① 施設外就労の総数は、事業所の利用定員を超えない
まず第一に、事業所の定員を超えた人数を、施設外就労に出すことは出来ません。
事業所の定員が20名で運営している場合、施設外就労を行うことが出来る人数はMAX20名ということになります。
よくある質問
Q1.
事業所の定員は20名ですが、当日の事業所での利用が10名の場合は、施設外就労に行ける人数は30名でしょうか?
A1.
当日の利用が10名であっても、施設外就労に出れるのは『事業所の定員と同数』の20名です。
② 施設外就労の当日の利用人数に対して、10:1または7.5:1(就労移行支援は6:1)で職員を配置させること
利用者が施設外就労に出る時は、もちろん利用者だけで企業へ行くというのは出来ません。
当日、施設外就労で企業で作業を行う利用者の人数に対し、事業所の報酬算定で必要な職員数を、常勤換算方式で配置する必要があります。
ポイントとしては、当日の施設外就労の人数に対して職員が何人必要かということです。
よくある質問
Q2.
うちの事業所は、就労継続支援B型事業所費(Ⅰ)(従業員配置は7.5:1以上)を算定しています。
当日、施設外就労の利用者が5人の場合、従業員は何人配置する必要がありますか?
A2.
当日の施設外就労の人数が5人の場合、5人÷7.5=0.66…となりますので、1人以上の職員を施設外就労先に配置してください。
Q3.
事業所での利用人数が0人で、施設外就労の人数が20人の場合、事業所への職員の配置は不要でしょうか?
A3.
事業所の利用者が0人であっても、前年度の平均利用者数に対して報酬算定上必要とされる従業員の配置と、管理者、サービス管理責任者の配置は必須です。
また、サービス管理責任者の配置に関しては、前年度の平均利用者数 + 施設外就労の人数に対する配置が必要になります。
この人数が60人を超える場合は、サービス管理責任者2人以上の配置が必要となる点にも注意してください。
③ 運営規程への位置づけ
施設外就労を行うためには、運営規程に『施設外就労』が位置づけられている必要があります。
どのように記載すべきかについては、指定権者ごとにローカルルールがあるので、確認の上で運営規程に記載するようにしてください。
④ 個別支援計画が事前に作成されていること
施設外就労を行う利用者については、事前に個別支援計画が作成されており、施設外就労を行うことが、個別支援計画に位置づけられている必要があります。
・ 施設外就労を行っているのに、個別支援計画へ記載されていない。
⑤ 緊急時の対応ができること
施設外就労先で利用者の体調の変化等が起こった場合、『行き当たりばったりで何とかする』というわけにはいきません。
このような緊急事態に、事業所がちゃんと対応できるよう、体制を整えておく必要があります。
緊急時の連絡方法や、どう対応するのか等について決めておいてください。
この5つの要件を全て満たした場合に限り、施設外就労の報酬を算定することができます。
1つでも出来ていなければ算定不可ですので、注意してください。
その他の必要事項
① | 施設外就労先の企業と、請負契約書を締結する。 |
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② | 施設外就労先の企業から支払われる報酬は、完成された作業の内容に応じて金額が決まること。 |
③ | 施設外就労先の企業から、作業に必要な機械器具を借りる時は、賃貸借契約書等を締結する。 |
④ | 作業の指導等は、施設外就労先の企業からではなく、事業所の職員が行うこと。 |
⑤ | 作業については、利用者と施設外就労先の企業が共同して行ってはいけない。 |
⑥ | 事業所は、施設外就労の実績報告書を、利用者の受給者証発行先の市区町村に毎月提出すること。 |
施設外就労を適正に行うためには
② 施設外就労の規則を作成する。
③ 施設外就労の支援記録を行う。
④ 施設外就労については、指定権者の解釈の範囲が広いので、分からない事は必ず確認する。 等
施設外就労は、定員20名の事業所の場合、施設外就労20名で実質40名定員という形で運営できるため、メリットは大きいです。
しかし、必要な記録がなかったり、配置すべき人員が足りなかったとなれば、実地指導時にかなり大変なことになります。
そうならないためにも、日ごろから制度を知って運営することがとても大切です。