令和6年度報酬改定 ~生活介護の報酬改定について~ 

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令和6年度の報酬改定案が先日公表されました。

現在公表されている情報は、令和6年度報酬改定(案)であり、詳細については不明な点が多いです。

しかし、現在生活介護を運営されている事業所様や、これから生活介護を開業されるご予定の法人様には、非常に気になる情報だと思います。

情報が公表されましたら、順次内容を更新して参りますが、現段階では細部の公表がなされていない点が多いということにつき、ご了承ください。

➡ 令和6年度報酬改定(厚労省)

目次

生活介護の報酬改定情報

サービス提供時間ごとの基本報酬の設定

  • 令和3年度報酬改定では、『障害支援区分ごと』『利用定員規模』に応じた報酬となっていたところ、令和6年4月以降は、利用者ごとのサービス提供の実態に応じた報酬体系とするため、『障害支援区分ごと』『利用定員規模』サービス提供時間別』に設定されることになりました。
  • サービス提供時間については、医療的ケアが必要な利用者や障がい特性等により短時間にならざるを得ない利用者への配慮として、個別支援計画に定めた標準的な支援時間で算定することを基本とすることなど一定の配慮がなされました。
  • 前年度の平均利用者数の算出については、サービス提供時間を考慮した計算方式となるようです。

 

※令和6年4月以降 利用定員11人以上20人以下の場合

サービス提供時間 障害支援区分
区分6 区分5 区分4 区分3 区分2以下
3時間未満 517単位 386単位 268単位 239単位 218単位
3時間 ~ 4時間未満 646単位 483単位 335単位 300単位 273単位
4時間 ~ 5時間未満 774単位 578単位 401単位 358単位 327単位
5時間 ~ 6時間未満 904単位 676単位 469単位 419単位 381単位
6時間 ~ 7時間未満 1258単位 941単位 652単位 583単位 532単位
7時間 ~ 8時間未満 1291単位 966単位 669単位 598単位 545単位
8時間 ~ 9時間未満 1353単位 1027単位 730単位 660単位 607単位

 

現行、利用定員20人以下の事業所では、区分6が1288単位、区分5が964単位、区分4が669単位、区分3が599単位、区分2以下が546単位となりますので、6時間以上のサービス利用で微減、7時間以上の利用で微増となります。

最低でも6時間以上のサービス提供ができなければ、現在の収益と同等にはならない厳しい状況となります。

 

利用定員規模ごとの基本報酬の設定

  • 利用者数の変動に対して柔軟に対応しやすくすることで、小規模事業所の運営をしやすくするとともに、障害者支援施設からの地域移行を促進するため、利用定員ごとの基本報酬を10人ごとに設定することとなりました。
  • 重症心身障がい児者対応の多機能型事業所にも配慮した利用定員規模別の基本報酬を設定することとなりました。

 

延長支援加算の見直し

  • 令和6年3月31日までは、8時間を超える利用がある場合、延長支援加算を算定可能でした。
  • 令和6年4月からは、生活介護の基本報酬をサービス提供時間で8時間以上9時間未満まで設定することから、9時間以上の支援を評価することとなりました。
  • 施設入所者については、延長支援加算は算定できません。

 

常勤看護職員等配置換算の拡充

  • 医療的ケアが必要な利用者に対する体制や医療的ケア児の成人期への移行にも対応した体制を整備するため、常勤看護職員等配置加算について、看護職員の配置人数に応じた評価がされるようになります。
  • 利用者定員に応じて、下表の所定単位数に常勤換算方法で算定した看護職員の数を乗じて得た単位数を加算します。
利用定員 単位/日
5人以下 32単位
6人以上10人以下 30単位
11人以上20人以下 28単位
21人以上30人以下 24単位
31人以上40人以下 19単位
41人以上50人以下 15単位
51人以上60人以下 11単位
61人以上70人以下 10単位
71人以上80人以下 8単位
81人以上 6単位

 

人員配置体制加算の拡充

  • 医療的ケアが必要な利用者など、重度の障がい者に対する複数職員による手厚い体制を評価されます。
  • 令和6年3月31日までは、人員配置体制加算(Ⅰ)~(Ⅲ)まででしたが、更に手厚い常勤換算で「1.5:1」以上の配置をする新たな区分を加えた、(Ⅰ)~(Ⅳ)の4つの区分となります。
  • 人員配置体制加算(Ⅰ) … 従業者を常勤換算で「1.5:1」以上配置する場合、利用定員20人以下の事業所は321単位/日
  • 常勤換算方法以外の詳細は未だ出ていません。

 

入浴支援加算【新設】 80単位/日

  • 医療的ケアが必要な利用者等への入浴支援を評価するための加算が創設されます。
  • 医療的ケアが必要な利用者または、重症心身障会社に対して、入浴に係る支援を提供した場合、1日につき所定単位数を加算します。

 

喀痰吸引等実施加算【新設】 30単位/日

  • 医療的ケアが必要な利用者等への喀痰吸引・経管栄養の実施を評価するための加算が創設されました。
  • 医療的ケアが必要な者であって、喀痰吸引等が必要なものに対して、喀痰吸引等を実施する者として登録した事業所において、喀痰吸引等の実施のために必要な知識・技能を習得するための研修を修了した職員が喀痰吸引等を行う必要があります。

 

リハビリテーション職の配置基準とリハ加算における変更点

  • 高次脳機能障害等の後遺症により言語障害を有する者等の支援のため、人員配置基準として、言語聴覚士が加えられました。
  • リハビリテーション加算を算定するにあたり、リハビリテーション実施計画の作成期間が、3カ月ごとから6ヶ月ごとに変更されました。

 

栄養状態のスクリーニング及び栄養改善の取組みの充実

  • 生活支援員や管理栄養士等の他職種と連携し、全ての利用者の栄養状態のスクリーニングを行うとともに、栄養状態にリスクのある者に対して個別の栄養管理を行う等、栄養ケア・マネジメントを行った場合、これを評価するために加算が創設されます。

栄養スクリーニング加算【新設】 5単位/回

  • 利用開始及び利用中6ヶ月ごとに利用者の栄養状態について確認
  • 当該利用者の栄養状態に関する情報を、当該利用者の相談支援専門員に情報提供を行った場合に1回につき算定

栄養改善加算【新設】 200単位/回

  • 対象者は「低栄養」「過栄養」「そのおそれがある者」
  • 1月に2回を限度とし、原則3カ月以内
  • 対象となる利用者の栄養状態の改善を目的として、個別的に利用者の心身の状態の維持または向上のために、栄養改善サービスを行う。
  • 次の①~④の要件に全て適合する事業所であること

① 事業所の職員または外部連携により、『管理栄養士』を1名以上配置

② 利用者の栄養状態を『利用開始時』に把握し、管理栄養士等が共同して、利用者ごとの『栄養ケア計画』を策定している

③ 利用者ごとの栄養ケア計画に従い、必要に応じて、『当該利用者の居宅に訪問』し、『管理栄養士等が栄養改善サービスを行い』、栄養状態について『記録』する

④ 利用者ごとの栄養ケア計画の進捗状況を『定期的に評価』している

 

福祉専門職員等配置加算の算定方法の見直し

  • 現行は、福祉専門職員等配置加算は、併給不可でしたが、令和6年4月以降は、併給が可能となります。

 

他サービス共通の改定事項(生活介護関連項目抜粋)

福祉・介護職員等の処遇改善

  • 処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算に分かれていましたが、現行の各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた4段階の「福祉・介護職員等処遇改善加算」に一本化するとともに、加算率が引き上げられます。
  • 新加算(Ⅳ)が基礎となり、その加算額の1/2以上を月額賃金の改善(ベースアップ)に充てることが要件となっています。

※厚生労働省HP「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」より引用

 

強度行動障害を有する障がい者への支援体制の充実

重度障害者支援加算(Ⅱ)

(一)生活支援員のうち20%以上の基礎研修修了者を配置し、区分6かつ行動関連項目10点以上のものに対して、実践研修修了者作成の支援計画シート等に基づき個別支援を行った場合  360単位/日

※ 個別支援を開始した日から180日以内は +500単位/日

 

(二)(一)を満たした上で、行動関連項目18点以上の者に対して、中核人材養成研修修了者作成の支援計画シート等に基づき個別支援を行った場合  (一)に加えて +150単位/日

※ 個別支援を開始した日から180日以内は(一)※に加え+200単位/日

 

  • 区分6以上行動関連項目10点以上の報酬区分を新設
  • 強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)修了者の加配要件を廃止し、生活支援員のうち基礎研修研修修了者が20%以上であること
  • 7単位の体制加算部分は廃止

 

重度障害者支援加算(Ⅲ)

(一)生活支援員のうち20%以上の基礎研修修了者を配置し、区分4以上かつ行動関連項目10点以上の者に対して、実践研修修了者作成の支援計画シートに基づき個別支援を行った場合  180単位/日

※ 個別支援を開始した日から180日以内は +400単位/日

 

(二)(一)を満たした上で、行動関連項目18点以上の者に対して、中核人材養成研修修了者作成の支援計画シート等に基づき個別支援を行った場合  (一)に加えて +150単位

※ 個別支援を開始した日から180日以内は(一)※に加えて +200単位/日

 

集中的支援加算【新設】

高度な専門性により地域を支援する人材(広域的支援人材)が、事業所等を集中的に訪問等し、適切なアセスメントと有効な支援方法の整理を共に行い環境調整を進め、支援を行った場合の評価が新設されます。

※期間は3ヶ月を限度

  • 広域的支援人材が訪問等した場合の評価      1000単位/回(月に4回を限度)
  • 状態が悪化したものを受け入れた事業所への評価  500単位/日
広域的支援人材
  • 強度行動障害に関する支援困難事例に対して助言を行い地域を支援する人材
  • 発達障害者地域支援体制整備事業(発達障害者地域支援マネージャー)等での配置を想定

視覚・聴覚言語障害者支援体制加算の拡充

  • 視覚、聴覚、言語機能に重度の障害がある利用者を多く受け入れている事業所において、様々なコミュニケーション手段を持つ利用者との交流にも配慮しつつ、より手厚い支援体制をとっている事業所をさらに評価することとなりました。

 

本人の意思を踏まえたサービス提供(同性介助)

  • 本人の意思に反する異性介助がなされないよう、サービス管理責任者等がサービスの提供に関する本人の意向を把握するとともに、本人の意向を踏まえたサービス提供体制の確保に努めることとなりました。

 

障がい者虐待防止の推進

虐待防止措置未実施減算【新設】

令和4年度から義務化された障害者虐待防止措置を未実施の障害福祉サービス事業所等に対して、基本報酬を1%減算することとなりました。

下表の①~③が一つでもできていなければ減算となります。

① 虐待防止委員会を定期的に開催するとともにその結果について従業者に周知徹底を図る

② 従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施する

③ 上記措置を適切に実施するための担当者を置く

その他、虐待防止委員会(身体拘束適正化委員会を含む)において、外部の第三者や専門家の活用に努めることや、都道府県の実施する虐待防止研修を管理者及び虐待防止責任者が受講することが望ましいとされています。

 

身体拘束等の適正化の推進

身体拘束等の適正化の徹底を図る観点から、減算額が引き上げられました。

現行では、基準を満たしていない場合に、1日につき5単位を基本報酬から減算することとなっていましたが、基準を満たしていない場合に基本報酬の1%を減算することとなりました。

 

➡ 虐待防止・身体拘束適正化について ~令和6年度報酬改定対応~

 

個別支援計画の共有

指定基準において、各サービスの個別支援計画について、指定特定(障害児)相談支援事業所にも交付することが義務付けられました。

 

障がい者の意思決定支援を推進するための方策

  • 相談支援専門員やサービス管理責任者が行う『サービス担当者会議』『個別支援会議』について、利用者本人が参加するものとし、当該利用者の生活に対する意向等を改めて確認することとされました。

 

高次脳機能障害者支援体制加算【新設】 41単位/日

次の1~3の要件を満たした場合、加算を算定することができます。

  1. 高次脳機能障害を有する利用者が全体の30%以上
  2. 高次脳機能障害支援者養成研修を修了した従業者を、50:1以上で配置
  3. その旨を公表している

 

人員基準における両立支援への配慮等

現行では、「育児・介護休業法等」による短時間勤務制度を利用する場合、週30時間以上の勤務でも、常勤として扱うことができましたが、これに加え、「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業所が設ける短時間勤務制度を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として取り扱うことが認められます。

 

障害福祉現場の業務効率化等を図るための ICT 活用等

  1. 一定の条件を満たした場合、管理者は、同一敷地内等に限らず、同一事業者によって設置される他の事業所等の管理者または従業者と兼務できるようになります。
  2. 管理者のテレワークについての取り扱いが示され、一定の条件を満たした場合、テレワークが可能となります。

 

業務継続計画未策定減算【新設】

以下の基準に適応していない場合、所定単位数を減算する、業務継続計画未策定減算が新設されました。

生活介護の場合は、基本報酬から1%減算となります。

ただし、令和7年3月31日までは、「感染症の予防及び蔓延防止のための指針の整備」及び「非常災害対策計画」の策定を行っている場合は、減算されません。

遅くとも、令和7年4月1日までには、BCP計画を策定して、必要な措置を講じる必要があります。

① 感染症や非常災害の発生時において、利用者に対するサービスの提供を継続的に実施するため及び早期の業務再開を図るための計画(業務継続計画)を策定する

② 業務継続計画に従い必要な措置を講じる

 

情報公表未報告減算【新設】

障害者総合支援法第76条の3の規定に基づく情報公表にかかる報告がされていない場合、所定単位数を減算する規定が新設されました。

生活介護の場合は所定単位数の5%を減算することとなります。

また、都道府県(指定権者)は、指定の更新申請があった場合、申請事業者が情報公表を行っているか確認することとなりました。

WAM NETへの公表ができていない事業所様は、忘れずにご対応ください。

 

食事提供体制加算について

令和6年3月31日までの経過措置とされていましたが、令和9年3月31日まで経過措置を延長することとなりました。

要件の見直しがあり、次の1から3すべてに適合する事業所が算定可能となりました。

  1. 管理栄養士(栄養士)が献立作成に関わること(外部委託可)または、栄養ケア・ステーションもしくは保険所等の管理栄養士(栄養士)が栄養面について確認した献立であること
  2. 利用者ごとの摂食量を記録していること
  3. 利用者ごとの体重や  BMI を概ね6ヶ月に1回記録していること

 

管理栄養士を事業所で雇用していただくか、外部委託等により、利用者の栄養管理を行っていただいた上で、事業所で食事を提供した場合、食事提供加算を算定することができるようになります。

 

その他令和6年4月から義務化される項目

感染症対策の強化に係る取組

  • 感染対策委員会の設置と委員会の定期開催
  • 委員会での検討結果を全職員へ周知徹底する
  • 指針の整備
  • 定期的な研修・訓練の実施

➡ 感染対策委員会について詳しく

 

感染症・非常災害発生時の業務継続に向けた取組の強化

  • BCP計画(新型コロナ・非常災害)の策定と周知
  • 研修及び訓練の定期的な実施
  • BCP計画の定期的な見直しと必要に応じた計画の変更

 

まとめ

以上が、生活介護の令和6年度報酬改定の概要になります。

生活介護は、『サービス提供時間ごと』の報酬が設定されたことが大きな変更点になります。

それに伴い、開所時間減算と短時間利用減算が削除されました。

開所減算と短時間利用減算が削除されるのは、令和6年4月1日からですので、令和6年3月31日までは、減算に該当するか確認する必要があります。

実地指導では、減算削除までの期間、適切な請求となっているか確認されますので、正しい知識を持っておくことは必要です。

➡ 生活介護の短時間利用減算

 

そして、重度障害者支援加算の7単位の体制加算もなくなり、加算要件も細かな見直しが行われました。

令和6年4月から、加算の要件等の変更がありますので、引き続き適正運営ができるよう、皆様の転ばぬ先の杖となれましたら幸いです。

 

当事務所では、事業所様の適正運営のために、書類点検、制度研修、委員会設置サポート、顧問契約を行っております。

また、令和6年度報酬改定についてのご相談も、11,000円/hで承っております。

当事務所が、事業所様の転ばぬ先の杖となれましたら幸いです。

 

➡ 取扱業務と料金

 

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