障がい福祉サービス事業及び障がい児通所支援事業では、適正なサービスの提供を確保するために、1日当たりの受け入れ人数が設定されていることがあります。
この、1日当たりの受け入れ可能人数のことを『定員』と言います。
一定の範囲を超える、過剰な定員超過については、【定員超過利用減算】を行う必要があります。
今回は、この定員超過利用減算について、詳しくお話させていただきたいと思います。
対象となるサービスは?
障がい福祉サービス事業
- 生活介護
- 短期入所
- 自立訓練(機能訓練、生活訓練)
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型、B型 など
障がい児通所支援事業
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス など
定員超過減算の場合、報酬はどうなるの?
定員超過減算となった場合は、基本報酬の70%を算定することになります。
各種加算については減算の対象とはならず、全利用者の基本報酬部分を3割減算するということです。
具体的な取り扱いは?
1日当たりの定員超過による減算
以下の計算式に当てはまった場合、当該1日について利用者全員分の基本報酬を減算する必要があります。
定員50人以下の場合(障がい福祉サービス・障がい児通所支援)
【当該日の利用者全員】
1日で受入れた人数 > 定員×150% = 定員超過利用減算
それでは、定員10名の放課後等デイサービスで、16人/日受入れた場合、上の式に当てはめて考えてみましょう。
10人×150%=15人となるので…
16人(1日の受入数)>15人=定員超過利用減算
という感じです。
この場合は、16人になってしまった日について、利用した児童全員の基本報酬を3割減算として請求してください。
逆に言うと、定員10人の事業所では、1日当たり5人までの超過は可能ということになります。
ただし、指定権者によっては、定員超過利用減算とならない範囲の定員超過については、基準配置プラス1名の配置が必要になることもありますのでご注意ください。
➡ 令和3年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.4(令和3年5月7日)
定員51人以上の障がい福祉サービス事業の場合
【当該日の利用者全員】
1日で受入れた人数 > (定員-50)× 125% + 75 = 定員超過利用減算
定員51人以上の障がい児通所支援事業の場合
【当該日の利用者全員】
1日で受入れた人数 > (定員-50)× 25% + 25 = 定員超過利用減算
直近過去3カ月間の実績による定員超過利用減算
以下の計算式に当てはまった場合、当該1か月間について利用者全員分の基本報酬を減算する必要があります。
利用定員11名以下の場合(障がい福祉サービス・障がい児通所支援)
【当該日の利用者全員】
過去3カ月の延べ利用者数 > (定員+3)× 過去3カ月の開所日数 × 125% = 定員超過利用減算
利用定員12名以上の場合(障がい福祉サービス・障がい児通所支援)
【当該日の利用者全員】
過去3カ月の延べ利用者数 > 定員 × 過去3カ月の開所日数 × 125% = 定員超過利用減算
短期入所、施設入所支援、障害児入所施設等については、割愛させていただきます。
多機能型事業所の定員超過利用減算の考え方
多機能型事業所の定員超過利用減算につきましては、それぞれのサービス毎に、それぞれの計算式に当てはめて、定員超過利用減算になるかどうかを計算していきます。
例えば…
- 就労継続支援B型 定員10名
- 放課後等デイサービス 定員10名
の多機能型事業所の、1日当たりの利用実績による定員超過利用減算の計算をしてみましょう。
- 就労継続支援B型 … 1日当たりの利用者数 > 10名×150% = 定員超過利用減算
- 放課後等デイサービス … 1日当たりの利用者数 > 10名×150% = 定員超過利用減算
となるので、就労継続支援B型と放課後等デイサービスのサービス毎の定員を超えた受入れ可能人数は5名ずつとなります。
定員を超えた受入れが可能な場合
適正なサービス提供を確保するために、1日に受け入れることが出来る定員が決められているわけですが、
- 災害等やむを得ない事由によって受け入れざるを得ない場合
- 就労アセスメントのための就労移行支援事業所の利用者
については、例外的に定員を超えた受入れを行うことが出来ます。
最後に…
定員超過利用減算については、大事なことなのですが、正しく理解されている事業所さんは少ないように感じます。
実地指導時には必ず確認されるところですから、適正運営のためにも、「1日当たりの利用者数」「3か月の延べ利用者数」については、しっかりと把握するようにしましょう。