令和6年度報酬改定 ~児童発達支援・放課後等デイサービスの報酬改定~

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令和6年度の報酬改定案が先日公表されました。

現在公表されている情報は、令和6年度報酬改定(案)であり、詳細については不明な点が多いです。

しかし、現在事業所を運営されている方や、これから開業を考えておられる方には、非常に気になるところだと思います。

情報が公表されましたら、順次内容を更新して参りますが、現段階では細部の公表がなされていないため、不十分な内容となっておりますことにつき、ご容赦ください。

現段階で公表されている内容を見る限り、事業所様にとっては、厳しい改定内容となっております。

正しい情報を入手することが、対策の第一歩です。

それでは順番に見て行きましょう。

 

➡ 令和6年度報酬改定(厚労省)

 

目次

令和6年度 児童発達支援・放課後等デイサービスの報酬改定情報

運営基準の改定

5領域を全て含めた総合的な支援

  • 支援において5領域(「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」)を全て含めた総合的な支援を提供することを基本とし、支援内容について事業所の個別支援計画等において5領域とのつながりを明確化した上で提供することを求めるよう、運営基準が一部改訂されます。

 

事業所の支援プログラムの作成・公表 【新設】

  • 5領域とのつながりを明確化した事業所全体の支援内容を示す「支援プログラム」の作成・公表をを求める運営基準が新設されました。

自己評価・保護者評価の充実

  • 自己評価・保護者評価について運用の標準化と徹底を図る観点から、運営基準等において実施方法が明確化されました。
  • おおむね、1年に1回以上、自己評価及び保護者評価並びに改善の内容を、保護者に示すとともに、インターネットの利用その他の方法により公表しなければならないとされました。

 

インクルージョンに向けた取り組みの推進

  • 事業所は、利用児童が地域の保育、教育等の支援を受けることができるようにすることで、障がいの有無にかかわらず、全ての児童が共に成長できるよう、地域社会への参加・包摂(インクルージョン)の推進に努めることとなりました。
  • 児発管は、インクルージョンの観点を踏まえた支援の具体的内容、支援を提供する上での留意事項その他必要な事項を記載した個別支援計画(原案)を作成することとされました。

 

障がい児支援における子供の最善の利益の保障

  • 事業所は、利用児及びその保護者の意思をできる限り尊重するための配慮が義務付けられました。
  • 児発管は、個別支援計画作成にあたり利用児の年齢及び発達の程度に応じ、その意見が尊重された計画作成と支援内容であるよう、検討する必要があります。

 

基本報酬と加算についての改定情報

基本報酬

基本報酬は、児発・放デイともに支援時間による区分を新たに設けて、30分未満の支援については、算定不可となります。

児童発達支援

※定員10名 未就学児への支援の場合

現行(~R6.3.31)
医療的ケア児 (判定スコア32点以上) 2885単位/日
医療的ケア児 (判定スコア16点以上) 1885単位/日
医療的ケア児 (判定スコア3点以上) 1552単位/日
医ケア児以外の場合 885単位/日
改定後(R6.4.1~)
時間区分1(30分以上 ~ 1時間30分以下)
医療的ケア児 (判定スコア32点以上) 2933単位/日
医療的ケア児 (判定スコア16点以上) 1917単位/日
医療的ケア児 (判定スコア3点以上) 1579単位/日
医ケア児以外の場合 901単位/日
時間区分2(1時間30分超 ~ 3時間以下)
医療的ケア児 (判定スコア32点以上) 2959単位/日
医療的ケア児 (判定スコア16点以上) 1943単位/日
医療的ケア児 (判定スコア3点以上) 1605単位/日
医ケア児以外の場合 928単位/日
時間区分3(3時間超 ~ 5時間以下)
医療的ケア児 (判定スコア32点以上) 3012単位/日
医療的ケア児 (判定スコア16点以上) 1996単位/日
医療的ケア児 (判定スコア3点以上) 1658単位/日
医ケア児以外の場合 980単位/日

改定後の児童発達支援の基本報酬は、旧個別サポート加算Ⅰを基本報酬に包括して評価されたことで、一見、基本報酬が微増しているように見えます。

しかし、医ケア児以外の利用児童を1日支援した場合、現在は「基本報酬885単位」+「個サポ(Ⅰ)100単位」=「985単位/日」となるので、「改定後の時間区分3で支援を行っても、980単位/日」となることから、現行よりも5単位/日のマイナスという形になります。

改定後の基本報酬について、現状と同レベルにするためには、それぞれの利用児童に対して、3時間超の支援となるようにしていきましょう。

 

放課後等デイサービス

  • 時間区分は個別支援計画に定めた支援時間で判定することを基本としますが、事業所の都合で支援時間が短くなった場合は、実支援時間で判定することとし、欠席時対応加算(Ⅱ)が廃止されました。

※ 定員10名の場合

現行(~R6.3.31)
授業終了後 区分1(3時間以上)
医療的ケア児 (判定スコア32点以上) 2604単位/日
医療的ケア児 (判定スコア16点以上) 1604単位/日
医療的ケア児 (判定スコア3点以上) 1271単位/日
医ケア児以外の場合 604単位/日
休業日 区分1(3時間以上)
医療的ケア児 (判定スコア32点以上) 2721単位/日
医療的ケア児 (判定スコア16点以上) 1721単位/日
医療的ケア児 (判定スコア3点以上) 1388単位/日
医ケア児以外の場合 721単位/日
改定後(R6.4.1~)
時間区分1(30分以上 ~ 1時間30分以下)
医療的ケア児 (判定スコア32点以上) 2591単位/日
医療的ケア児 (判定スコア16点以上) 1583単位/日
医療的ケア児 (判定スコア3点以上) 1247単位/日
医ケア児以外の場合 574単位/日
時間区分2(1時間30分超 ~ 3時間以下)
医療的ケア児 (判定スコア32点以上) 2627単位/日
医療的ケア児 (判定スコア16点以上) 1618単位/日
医療的ケア児 (判定スコア3点以上) 1282単位/日
医ケア児以外の場合 609単位/日
時間区分3(3時間超 ~ 5時間以下) ※学校休業日のみ算定可能
医療的ケア児 (判定スコア32点以上) 2683単位/日
医療的ケア児 (判定スコア16点以上) 1674単位/日
医療的ケア児 (判定スコア3点以上) 1339単位/日
医ケア児以外の場合 666単位/日

 

 

児童発達支援(重心型)

  • 定員による区分設定を、1人単位刻みから3人単位刻みとする見直しが行われました。
  • 重心型の事業所の基本報酬は、時間区分の見直しは行われておりません。
現行(~R6.3.31)
利用定員 5人 2,098単位/日
利用定員 6人 1,757単位/日
利用定員 7人 1,511単位/日
改定後(R6.4.1~)
利用定員 5人~7人 2131単位/日

 

放課後等デイサービス(重心型)

現行(~R6.3.31)
授業の終了後に行う場合
利用定員 5人 1756単位/日
利用定員 6人 1467単位/日
利用定員 7人 1263単位/日
休業日に行う場合
利用定員 5人 2038単位/日
利用定員 6人 1706単位/日
利用定員 7人 1466単位/日
改定後(R6.4.1~)
授業の終了後に行う場合
利用定員 5人~7人 1771単位/日
休業日に行う場合
利用定員 5人~7人 2056単位/日

 

 

支援プログラム未公表減算【新設】 ※R7.4.1から減算適用

  • 支援プログラムの公表がなされていない事業所は、所定単位数の15%減算が令和7年4月1日から適用されます。

 

児童指導員等加配加算

  • 現行では児童指導員等加配加算は、「理学療法士等」「児童指導員等」「その他の従業者」を常勤換算で1.0人以上配置すれば、それに対応する単位を算定できていましたが、改定後は、専門職はの枠がなくなり、「児童指導員等」と「その他の従業者」の加配を評価することになりました。
  • 「児童指導員等」の児童福祉事業に従事した経験年数や配置形態(常勤・非常勤)を区分に応じて評価します。
  • 「その他の従業者」は、経験年数と配置形態による区分評価はありません。
  • 現時点では、「児童指導員等」にどの職種が入るのかは、情報が出ていません。
≪児童指導員等加配加算≫
現行(~R6.3.31)  理学療法士等を配置 75~187単位/日
 児童指導員等を配置 49~123単位/日
 その他の従業者を配置 36~90単位/日
改定後(R6.4.1~) 児童指導員等を配置
 常勤専従・経験5年以上 75~187単位/日
 常勤専従・経験5年未満 59~152単位/日
 常勤換算・経験5年以上 49~123単位/日
 常勤換算・経験5年未満 43~107単位/日
その他の従業者を配置 36~90単位/日

児童指導員等加配加算を理学療法士等の区分で算定していた事業所様は、『常勤専従・経験5年以上』の児童指導員等を加配要因として配置することができれば、現行の理学療法士等と同単位になります。

そして、児童指導員等の区分を算定していた事業所は、常勤専従の児童指導員等を加配要因として配置できれば、現行の単位よりも上がる可能性があります。

ただし、児童指導員等の職種の範囲の情報は、一切公表されていませんので、その点はご了承ください。

加配要因については、出来る限り常勤専従配置できるようにした方が良いでしょう。

 

専門的支援加算・特別支援加算

専門的支援加算及び特別支援加算について、専門人材の活用とニーズを踏まえた計画的な専門的支援の実施を進める観点から、両加算を統合し、専門的な実施について、2段階で評価されるようになります。

専門的支援体制加算

  • 専門的な支援の強化を図るため、基準の人員に加えて理学療法士等を配置している場合、体制を評価します。
  • 理学療法士等にどの職種が入るのかは、公表されていません。
専門的支援加算(現行)~R6.3.31
理学療法士等を配置 75~187単位/日
児童指導員等を配置 49~123単位/日
専門的支援体制加算(改定後)R6.4.1~
理学療法士等を配置 49~123単位/日

 

専門的支援実施加算

  • 理学療法士等により、個別・集中的な専門的支援を計画的に行った場合、利用日数等に応じて原則4回/月、最大6回/月を限度に算定可能です(放デイは利用日数等に応じて月2回から最大月6回を限度とする)。
  • 専門的支援体制加算との併算定は可能とのことです。
専門的支援実施加算(改定後)R6.4.1~ 150単位/回(原則月4回を限度)

 

専門的支援加算の改定は、事業所様にとって大きな打撃となる予想です。

現在、定員10名で、理学療法士等を配置して加算を算定している場合、187単位/日となりますが、改定後は理学療法士等を配置しても、123単位/日となってしまいます。

22日開所の事業所で、毎日10名が利用していた場合、187-123=64単位 64単位×10名×22日=14080単位のマイナスが予想されます。

併算定可能ということで、専門的支援体制加算を算定しても、原則4回/月までしか算定できないため、利用者一人あたり150単位×4回で600単位がプラスされるだけですので、体制分のマイナス単位を補填するのには程遠く、非常に厳しい形となっております。

 

関係機関連携加算の見直し

  • 子どもと家族に対する包括的な支援を進める観点から、関係機関連携加算について、対象となる関係機関に「医療機関」や「児童相談所等」を含めるとともに、個別支援計画作成時以外に情報連携を行った場合に評価を行うこととなりました。

 

事業所間連携加算【新設】

  • セルフプランで複数事業所を併用する利用児童について、事業所間で連携し、子どもの状態や支援の状況の共有等の情報連携を行った場合、評価されることになりました。
  • 事業所間の連携会議に参加し事業所間の情報連携を行い、その情報事業所内で共有するとともに、必要に応じて個別支援計画の見直しを行うなどにより支援を反映させた場合にも評価されます。

 

医療連携体制加算(Ⅶ)250単位/日 ※重心型も可能

  • 認定特定行為業務従事者による支援を評価する医療連携体制加算(Ⅶ)について、見直しが行われました。
  • 喀痰吸引等が必要な障がい児に対して、認定特定行為業務従事者が、医療機関等との連携により、喀痰吸引と行った場合250単位/日を算定できます。
  • 医療的ケア区分による基本方針を算定している場合は、この加算を算定できません。
  • 主として重症心身障がい児に対して支援を行う事業所も算定可能となります。

 

入浴支援加算【新設】

  • 医療的ケア児と重症心身障がい児に、発達支援とあわせて入浴支援を行った場合、月8回までを限度として評価されることになりました。
  • 児発は、55単位/回(月8回まで)
  • 放デイは、70単位/回(月8回まで)

 

医ケア児と重症心身障がい児に対する送迎加算の見直し

  • 医療的ケア児や重症心身障がい児の送迎について、こどもの医療濃度等も踏まえた評価となり、上乗せ部分の単位増となりしました。
  • 改訂後は、医療的ケア区分による基本報酬を算定していない重心外の事業所も、医療的ケアが可能な職員の付き添いにより上乗せ部分を算定できるようになります。

 

強度行動障害児支援加算の見直し

児童発達支援

  • 強度行動障害を有する利用児童への支援を充実させる観点から、強度行動障害児支援加算について、支援スキルのある職員の配置や支援計画の策定等を求めた上で評価を充実させることとなりました。
強度行動障害児支援加算 200単位/日

加算開始から90日以内の期間は、さらに+500単位/日

※ 強度行動障害支援者養成研修(実践研修)を修了した職員を配置し、強度行動障害を有する児(児基準20点以上)に対して、支援計画を作成し、当該計画に基づき支援を行った場合算定可能。

放課後等デイサービス

  • 強度行動障害を有する児への支援を充実させる観点から、強度行動障害児支援加算について支援スキルのある職員の配置や支援計画の策定等を求めた上で、評価を充実するとともに、専門人材の支援のもと、行動障害の状態がより強い児に対して支援を行った場合の評価の見直しが行われました。

強度行動障害児支援加算(Ⅰ) …  (児基準 20点以上) 200単位/日

※ 強度行動障害支援者養成研修(実践研修)を修了した職員を配置し、強度行動障害を有する児(児基準20点以上)に対して、支援計画を作成し当該計画に基づき支援を行った場合算定可能

 

強度行動障害児支援加算(Ⅱ) … (児基準30点以上) 250単位/日

※ 強度行動障害支援者養成研修(中核的人材養成研修)を修了した職員を配置し、強度行動障害を有する児(児基準30点以上)に対して、支援計画を作成し当該計画に基づき支援を行った場合算定可能

 

強度行動障害児支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)ともに、加算開始から90日以内の期間は、更に+500単位/日を算定可能です。

 

個別サポート加算(Ⅰ)

児童発達支援 120単位/日

  • 児童発達支援に関しては、保護者の負担軽減・事務の効率化の観点から、基本報酬に包括化して評価することとした上で、著しく重度の障がい児が利用した場合に評価をすることとなりました。
  • 重症心身障がい児等、著しく重度の障がい児に対して、遅延を行った場合算定可能となります。
  • 主として重症心身障がい児が利用する事業所の基本報酬を算定している場合は、当該加算を算定することができません

放課後等デイサービス ※重心型事業所は算定不可

  • ケアニーズの高い障がい児に対して支援を行った場合  90単位/日
  • ケアニーズの高い障がい児に対して、強度行動障害者養成研修(基礎研修)修了者を配置し支援を行った場合、または著しく重度の障がい児に対して支援を行った場合  120単位/日

 

個別サポート加算(Ⅱ) 150単位/日

  • 要支援・要保護児童への支援の充実を図る観点から、個別サポート加算(Ⅱ)について、こども家庭センターやサポートプランに基づく支援との連携を推進しつつ、評価の見直しが行われました。
  • 支援の状況等を6ヶ月に1回以上、児童相談所やこども家庭センター等に共有することが必要です。

 

個別サポート加算(Ⅲ)【新設】 70単位/日 ※放デイのみ

  • 不登校の状態にある障がい児に対して、学校との連携のもと、家族への相談援助等を含め、支援を行ったことを評価する加算が創設されました。

 

人工内耳装用児支援加算の見直し

  • 難聴児支援の充実を図る観点から、人工内耳を装用している利用児童に支援を行った場合の評価が見直されました。

 

視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算【新設】 100単位/日

  • 視覚・聴覚・言語機能に重度の障がいのある利用児に対して、意思疎通に関して専門性を有する人材を配置して、支援を行った場合評価されることとなりました。

 

家族支援加算 (月4回を限度)

  • 家庭連携加算と事業所内相談支援加算について、オンラインによる相談援助を推進する観点から、評価の見直しが行われ、両加算を統合して、個別とグループでの支援に整理して評価されることになりました。
  • きょうだいへの支援も促進されるよう、統合後の加算において、きょうだいも相談援助等の対象であることが明確化されました。

 

子育てサポート加算【新設】 80単位/回(月4回を限度)

  • 保護者に支援場面の観察や参加等の機会を提供した上で、こどもの特性や、特性を踏まえたこどもへのかかわり方等に関して相談援助等を行った場合、評価する加算が創設されました。

 

延長支援体制加算

  • 預かりニーズに対応した延長支援を評価し、見直しが行われました。
  • 延長時間帯の職員については安全確保の観点から2人以上の配置を求めるとともに、児童発達支援管理責任者の対応も認めるなど、運用の見直しが行われました。
  • 放課後等デイサービスの場合は、延長支援加算の算定が可能となる支援時間は、平日3時間、学校休業日5時間となります。

現行では、直接支援職員1名以上の配置で延長支援加算を算定できていましたが、2人以上の職員配置が必要となったため、人件費との兼ね合いを検討する必要があります。

 

保育・教育等移行支援加算

  • 保育所等への移行に向けた取り組みを推進する観点から、保育・教育等移行支援加算について、保育所等への移行前の取り組み等についても評価されることになりました。

 

通所自立支援加算【新設】 60単位/回 ※放デイのみ

  • 学校・居宅等と事業所間の移動について、自立して通所が可能となるよう、事業所の職員が付き添って計画的に支援を行った場合算定できる加算が創設されました。
  • 算定開始から3ヶ月まで算定可能です。

 

自立サポート加算【新設】 100単位/回(月2回を限度) ※放デイのみ

  • 高校生(2年生と3年生に限る)について、学校卒業後の生活に向けて、学校や地域の企業等と連携しながら、相談支援や体験等の支援を計画的に行ったことを評価する加算が創設されました。

 

 

他サービス共通の改定事項(児童通所支援関連項目抜粋)

福祉・介護職員処遇改善加算

  • 現行では処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算に分かれていましたが、現行の各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた4段階の「福祉・介護職員等処遇改善加算」に令和6年6月から一本化するとともに、加算率が引き上げられます。
  • 新加算(Ⅳ)が基礎となり、その加算額の1/2以上を月額賃金の改善(ベースアップ)に充てることが要件となっています。
サービス区分 福祉・介護職員処遇改善
児童発達支援 13.1% 12.8% 11.8% 9.6%
放課後等デイサービス 13.4% 13.1% 12.1% 9.8%

厚生労働省HPより引用

 

集中的支援加算【新設】

高度な専門性により地域を支援する人材(広域的支援人材)が事業所等を集中的に訪問等し、適切なアセスメントと有効な支援方法の整理を共に行い環境調整を進め、支援を行った場合の評価が新設されました。

※期間は3ヶ月を限度

  • 広域的支援人材が訪問等した場合の評価      1000単位/回(月に4回を限度)
  • 状態が悪化した児童を受け入れた事業所への評価  500単位/日
広域的支援人材
  • 強度行動障害に関する支援困難事例に対して助言を行い地域を支援する人材
  • 発達障害者地域支援体制整備事業(発達障害者地域支援マネージャー)等での配置を想定

意思決定支援の推進

個別支援計画の共有

  • 作成した個別支援計画を、相談支援事業所へ交付することが義務付けられました。

 

同性介助

  • 本人の意思に反する異性介助がなされないよう、児童発達支援管理責任者がサービスの提供に関する本人の意向を把握するとともに、本人の意向を踏まえたサービス提供体制の確保に努めることとなりました。

 

虐待防止の推進

虐待防止措置未実施減算【新設】

令和4年度から義務化された障がい者虐待防止措置を未実施の障がい福祉サービス事業所等に対して、基本報酬を1%減算することとなりました。

下表の①~③が一つでもできていなければ減算となります。

① 虐待防止委員会を定期的に開催するとともにその結果について事業者に周知徹底を図る

② 従業者に対して、虐待の防止のための研修を定期的に実施する。

③ 上記措置を適切に実施するための担当者を置く

その他、虐待防止委員会(身体拘束適正化委員会を含む)において、外部の第三者や専門家の活用に努めることや、都道府県の実施する虐待防止研修を管理者および虐待防止責任者が受講することが望ましいとされています。

 

身体拘束等の適正化の推進

身体拘束等の適正化の徹底を図る観点から、減算額が引き上げられました。

現行では、基準を満たしていない場合に、1日につき5単位を基本報酬から減算することとなっていましたが、基準をみたしていない場合に基本報酬の1%を減算することになりました。

 

➡ 虐待防止・身体拘束適正化について ~令和6年度報酬改定対応~

 

人員基準における両立支援への配慮等

現行では「育児・介護休業法等」による短時間勤務制度を利用する場合、週30時間以上の勤務でも、常勤として扱うことができましたが、これに加え、「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業所が設ける短時間勤務制度を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として取り扱うことが認められます。

 

管理者の働き方について

  • 一定の条件を満たした場合、管理者は同一敷地内等に限らず、同一事業者によって設置される他の事業所等の管理者または従業者と兼務できるようになります。
  • 管理者のテレワークについての取り扱いが示され、一定の条件を満たした場合、テレワークが可能となります。

 

業務継続計画未作成減算【新設】

以下の基準に適応していない場合、所定単位数を減算する、業務継続計画未作成減算が新設されました。

児童発達支援及び放課後等デイサービスは、所定単位数の1%減算となります。

ただし、令和7年3月31日までは、「感染症の予防及び蔓延防止のための指針の整備」及び「非常災害対策計画」の策定を行っている場合は、減算されません。

遅くとも、令和7年4月1日までには、BCP計画を策定して、必要な措置を講じる必要があります。

① 感染症や非常災害の発生時において、利用者に対するサービスの提供を継続的に実施するため及び早期の業務再開を図るための計画(業務継続計画)を策定する

② 業務継続計画に従い必要な措置を講じる

 

情報公表未報告減算【新設】

障害者総合支援法第76条の3の規定に基づく情報公表にかかる報告がされていない場合、所定単位数を減算する規定が新設されました。

児童発達支援および放課後等デイサービスは、所定単位数の5%減算することとなります。

また、都道府県(指定権者)は、指定の更新申請があった場合、申請事業者が情報公表を行っているか確認することとなりました。

WAM NET への公表ができていない事業所様は忘れずにご対応ください。

 

その他令和6年4月から義務化される事項

感染症対策の強化

  • 感染対策委員会の設置及び委員会の定期開催
  • 委員会での検討結果を全職員へ周知徹底する
  • 指針の整備
  • 定期的な研修・訓練の実施

➡ 感染対策の強化について詳しく

 

感染症・非常災害発生時の業務継続に向けた取組の強化

  • BCP計画(新型コロナ・非常災害)の策定と周知
  • 研修及び訓練の定期的な実施
  • BCP計画の定期的な見直しと必要に応じた計画の変更

 

安全計画の策定

  • 事業所の設備の安全点検
  • 安全計画の策定
  • 職員への研修及び訓練の実施
  • 職員及び保護者への周知

安全計画のひな型を22,000円(税込)で販売しております。

送迎車両の安全装置の設置義務化

  • 送迎車両に社内の利用児童の見落としを防止する装置の装備
  • 利用児童の所在確認

➡ 詳しくはこちら

 

まとめ

以上が、児童発達支援及び放課後デイサービスの令和6年度報酬改定の概要になります。

かなりのボリュームがあり、目を通すのも大変だったと思いますが、改定の方向性を知ることはとても大事です。

報酬部分については、児童指導員等加配加算と専門的支援加算の改定が痛手となりそうですね。

また、基本報酬についても、重心型以外の事業所については、支援時間による区分が新設されましたことにより、事業運営の方向転換が必要な事業所様も多くあることと存じます。

 

報酬改定の方向性としましては、「家族支援」「強度行動障害児への支援」「医ケア児や重症心身障がい児への支援」「関係機関との連携による支援」などが求められており、新設された加算を算定して、下がった専門的支援加算等の補填としていただければと思います。

 

令和6年4月から、加算の要件等や、運営上義務化されたこともあり、引き続き適正運営ができるよう、皆様の転ばぬ先の杖となれましたら幸いです。

当事務所では、事業所様の適正運営のために、書類点検、制度研修、委員会設置サポート、顧問契約を行っております。

ご興味がありましたら、電話またはメールにてお問い合わせください。

 

➡ 取扱業務と料金

 

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