
運営指導(旧実地指導)の通知が届いた瞬間、
「何か問題があったのかな」
「指摘を受けたらどうしよう」
「どんなところを見られるんだろう。うちは大丈夫かな」
と不安になる方も少なくありません。
しかし、運営指導は多くの事業所が定期的に受けるものであり、通知が届いたこと自体を過度に心配する必要はありません。
大切なのは、当日までに必要な準備を行い、落ち着いて対応することです。
準備不足のまま当日を迎えると、本来であれば防げた指摘を受けてしまうこともあります。
当事務所では、これまで障がい福祉サービス事業所の運営指導に向けた事前の書類点検に数多く携わり、運営指導当日の立会いも経験してきました。
そこで今回は、これまでの実務経験をもとに、運営指導の通知が届いた際に確認しておきたいポイントをご紹介します。
「どのような対応をしてもらえるのか」「費用はいくらかかるのか」を先に確認したい方は、ページ下部の「ご依頼の流れ・費用」をご覧ください。
運営指導とは?
運営指導とは、指定を受けた障がい福祉サービス事業所等に対して、法令等に沿った運営が行われているかを行政が確認するために実施されるものです。
行政の担当者が事業所を訪問し、人員配置や個別支援計画、各種記録、加算の算定状況、報酬の請求などについて確認を行います。
運営指導の通知が届いたら?
運営指導の通知が届いたら、まずは落ち着いて通知の内容を確認しましょう。
通知には、運営指導の実施日時や事前提出書類の提出期限、当日準備が必要な書類などが記載されています。
行政によっては郵送で通知される場合もあれば、メールで通知される場合もあります。
日々の業務に追われていると見落としてしまうこともありますが、気づいた時には運営指導の日が迫っていたということにならないよう注意が必要です。
また、運営指導までの期間は、書類の整理を行うための大切な準備期間でもあります。
通知が届いたら後回しにせず、内容を確認し、計画的に準備を進めることをおすすめします。
特に、「何から手を付ければよいかわからない」「書類に不備がないか不安」という場合は、事前に行政書士へ相談することで、必要書類の確認や想定される指摘事項についてアドバイスを受けることができます。
【ポイント】
- 行政からの通知(封書やメール等)は、後回しにせずすぐに確認する
- 運営指導の日時、事前提出書類および提出期限を確認する
- 書類の不足や対応に不安がある場合は、この段階で運営指導に対応できる行政書士に相談する
①事前提出書類の作成・提出
運営指導の通知には、事前に提出を求められる書類が記載されています。
提出を求められる書類は行政によって異なりますが、直近3カ月の勤務表や前年度平均利用者の資料、研修・訓練等の実施実績、各種マニュアル、運営規程、重要事項説明書などの提出を求められることが一般的です。
行政によって異なりますが、事前提出書類の一例は次のとおりです。
・直近3月分の勤務表
・従業者の資格一覧表(訪問系)
・研修(訓練)等の実施実績および実施計画について
・サービス提供時間実績表(訪問系)
・平均利用者数等調べ(通所、入所系)
・生産活動シート(就A・B)
・運営規程
・重要事項説明書
・各種マニュアル 等
事前提出書類は単なる事務手続きではありません。
行政は提出された資料を確認したうえで運営指導を実施するため、書類の内容によっては当日に重点的に確認される事項が決まることもあります。
また、提出資料を準備する過程で、
- 記録の作成漏れが見つかった
- 加算の根拠資料が不足していた
- 届出内容と実際の運営状況に相違があった
といった問題に気づくケースも少なくありません。
提出期限が短い場合もあるため、通知が届いたら早めに準備に取り掛かることが大切です。
【ポイント】
- 事前提出書類は提出期限に余裕をもって準備する
- 提出資料の内容は、運営指導当日の確認事項にも影響する
- 事前提出書類作成の段階で、運営上の不備がないか確認しながら準備を進める
②当日準備書類の確認
運営指導では、事前提出書類とは別に、当日行政担当者が事業所で確認するための書類の準備を求められます。
運営指導の通知には「当日準備書類」が記載されていますが、記載されている書類だけが確認対象とは限りません。
実際には、当日になってから
「〇〇の書類を見せてください。」
と追加で提示を求められることもあります。
近年の報酬改定により、新たに作成や実施が求められる事項が増えています。
しかし、行政によっては当日準備書類の一覧が最新の制度改正に対応しきれていない場合もあり、通知に記載のない書類について当日に確認を求められることがあります。
そのため、通知に記載された書類だけを準備するのではなく、日頃から作成・保管している記録や各種書類についても確認しておくことが大切です。
当日に慌てることのないよう、求められた際にすぐ提示できる状態にしておきましょう。
□ タイムカード
□ 雇用契約書
□ 資格証
□ 健康診断の記録
□ 秘密保持の誓約が確認できるもの
□ 社会保険の適用が確認できるもの
□ サービス利用に係る契約書
□ 個人情報の使用に関する同意書
□ 受給者証の写し
□ 契約内容報告書
□ アセスメント
□ 個別支援計画
□ モニタリング
□ サービス提供の記録
□ サービス提供実績記録票
□ 工賃の支給に係る書類
□ 介護給付費の請求書等
□ 法定代理受領通知
□ 研修の記録
□ 苦情相談の記録
□ ヒヤリハット報告書
□ 賠償責任保険
□ 決算書
□ その他必要書類 等
なお、上記はあくまでも一例です。
行政やサービス種別によって確認される書類は異なります。
【ポイント】
- 当日準備書類の一覧は参考と考え、運営基準上整備が必要な書類も確認しておく
- 求められたら書類を提示できるよう整理しておく
③運営指導でよくある指摘事項
職員に関する事項
- 必要な人員配置を満たしていない
- 職員の資格や研修等に関する要件を満たしていない
- 勤務予定と実際の勤務状況に相違がある
- 算定している加算に必要な人員配置を満たしていない 等
人員配置に関する指摘の中には、意図的なものではなく、日々の業務に追われる中で制度上必要な対応を見落としていたことにより生じるものもあります。
「必要な職員を配置しているから大丈夫」と思っていても、実際の勤務状況や算定している加算などを確認すると、要件を満たしていなかったというケースもあります。
人員配置に関する不備は、内容によっては報酬の返還につながる可能性があります。
運営指導の直前になって慌てて確認するのではなく、日頃から実際の勤務状況と加算の要件を満たしているかを確認しておくことが大切です。
サービス提供に関する事項
- 個別支援計画の作成過程や内容に不備がある
- 個別支援計画やモニタリングが適切に作成・見直されていない
- サービス提供に関する必要な記録が不足している
- 加算の算定根拠となる記録や資料に不備がある
- 実際のサービス提供内容と記録・報酬請求の内容に相違がある 等
サービス提供に関する事項についても、運営指導で確認される重要な項目です。
特に、個別支援計画やモニタリング、サービス提供記録などは、利用者への支援の実態を確認するための重要な資料となります。
書類そのものが作成されていても、作成方法や内容、次期、記録の整合性などに不備があれば、指摘につながることがあります。
また、算定している加算については、要件を満たしていることが関係書類から確認できる状態になっていることも重要です。
サービス提供や報酬算定に関する不備は、内容によっては減算や報酬返還につながる可能性があります。
「書類は作成しているから大丈夫」と考えるのではなく、実際の支援内容や作成した書類に不備がないか、日頃から確認しておきましょう。
【ポイント】
- 個別支援計画は、作成の有無だけではなく一連の作成過程も確認される
- サービス提供の実態を確認できる記録を適切に作成・保管する
- 算定している加算について、必要な根拠資料に不備が無いか確認する
- サービス提供に関する不備は、返金につながる可能性がある
事業運営に関する事項
- 必要な委員会や研修等が適切に実施されていない
- 実施した取組について必要な記録が作成されていない
- 各種計画やマニュアル等の整備・運用に不備がある
- 事故、苦情、ヒヤリハット等に関する記録や対応に不備がある
- 制度改正により必要となった取組への対応ができていない 等
事業運営に関する事項についても、運営指導で指摘を受けることが少なくありません。
近年は制度改正により、委員会の開催や研修の実施など、事業所に求められる体制整備や取組が増えています。
必要な書類を作成しているだけではなく、実際に制度に沿った運用が行われ、そのことを確認できる記録が残されていることも重要です。
また、必要な取組が適切に行われていない場合には、内容によっては減算や報酬返還につながる可能性があります。
真面目に利用者支援を行っていても、日々の業務に追われる中で、書類整備や制度改正への対応が十分にできていないケースも少なくありません。
【ポイント】
- 制度上必要な取組が適切に実施・記録されているか確認する
- 各種計画やマニュアル等は、作成だけではなく運用状況にも注意する
- 制度改正等による新たな義務や減算について、現在の運営状況に問題がないか確認する
サービス種別ごとの運営指導
障がい福祉サービスの運営指導では、共通して確認される事項のほか、サービス種別ごとに確認される内容が異なります。
グループホーム(共同生活援助)の運営指導
グループホームの運営指導で、指摘を受けやすい項目や、運営上注意したいポイントについて解説しています。
➡ 【共同生活援助】グループホームの運営指導|指摘事項10選+1
就労継続支援B型の運営指導
就労継続支援B型について、人員配置や個別支援計画、生産活動・工賃、在宅支援・施設外就労など、運営指導前に確認しておきたいポイントをまとめています。
生活介護の運営指導
生活介護の運営指導では、基本的な確認事項に加えて、算定されている事業所様が多い「重度障害者支援加算」についても、確認しておきたいポイントや注意点を詳しく解説しています。
児発・放デイの運営指導
児発・放デイの運営指導では、どこを見られるのか?
人員配置や個別支援計画、各種加算、安全計画など、実際に確認しておきたいポイントを詳しく解説しています。
「で、うちの事業所は大丈夫ですか?」というご相談
ここまで運営指導で確認されやすい事項をご紹介してきましたが、実際にご相談を受けていると、
「これまで真面目に運営してきたし、必要な書類も一通り作っている。でも、細かいところで思い違いをしているかもしれない。それが不安なんです。うちの事業所は大丈夫でしょうか?」
といったお声をよくいただきます。
運営指導では、単に必要な書類が揃っているかだけではなく、書類同士の整合性や実際の運用状況、加算の算定要件を満たしているかなど、複数の資料を照らし合わせながら確認する必要があります。
そのため、自事業所だけで確認していると、問題がないと思っていた部分から指摘事項が見つかることもあります。
また、「知らなかったこと」は調べれば気づくことができますが、「正しいと思い込んでいること」は、自分たちだけではなかなか間違いに気づくことができません。
実際に書類点検をしていても、こちらからお伝えして初めて、「えっ、これで合っていると思っていました」と気づかれることがあります。
運営指導当日に行政から指摘を受けて初めて気づくよりも、通知が届く前の段階で、一度第三者である専門家の目を入れて、現在の運営や書類を確認しておくのも一つの方法です。
当事務所がお手伝いできること
運営指導は、日々の業務の中で問題なく運営しているつもりでも、書類の不足や解釈の間違いによって指摘を受けることがあります。
当事務所では、運営指導に向けた事前準備から当日対応まで以下のようなサポートを行っています。
- 運営指導に向けた事前準備
- 提出書類、当日確認書類の点検
- 人員配置や報酬算定に関する確認
- 個別支援計画等のサービス提供関係書類の点検
- 研修・委員会・各種計画等の運用状況の点検
- 運営指導当日の立ち会い
ご依頼の流れ
① お問い合せ・ご契約
お問合せ後、現在の状況や運営指導の実施予定などをお伺いし、サポート内容をご説明したうえでご契約となります。
② 運営指導通知の確認
運営指導の通知書を確認し、実施日、事前提出書類、当日準備が必要な書類などを確認します。
③ 1回目の訪問・事前提出書類の確認
事業所を訪問し、事前提出書類を中心に内容を確認します。事前提出の前に確認を行い、必要な準備を進めます。
④ 2回目の訪問・運営指導に向けた最終確認
運営指導当日に確認される書類や運営状況などを確認し、当日に向けた準備を行います。
⑤ 運営指導当日の立ち会い
原則として、運営指導当日は行政書士が事業所に伺い立ち会います。
ただし、他の業務等との日程の都合により、立ち会いができない場合があります。
※ 原則として事前訪問は2回を予定しています。事業所の状況等により3回目以降の訪問が必要となる場合は、別途料金が発生します。
ご依頼いただいた事業所様からのお声
運営指導終了後に、
「事前に見てもらっていたので、落ち着いて当日を迎えることができました。お願いして良かったです」
「初めての運営指導で心細かったので、一緒にいてもらえるだけでも心強かったです」
といったお声をいただくことがあります。
運営指導では、どのようなことを聞かれるのか、どの書類を確認されるのか分からず、特に初めての場合は不安を感じる方も少なくありません。
事前に書類や運用状況を第三者の視点で確認しておくことで、改善すべき点を把握し、必要な準備をしたうえで当日を迎えることができます。
運営指導が初めてで不安な場合にも、少しでも安心して当日を迎えていただけるようサポートしています。
運営指導の通知が届く前の書類点検
運営指導の通知が届いてからではなく、「今の運営状況に問題がないか、一度確認しておきたい」という事業所様からの書類点検のご依頼も承っております。
「必要な書類が揃っているか分からない」
「人員配置や加算の算定に問題がないか確認してほしい」
「運営指導の通知が届く前に、一度全体をチェックしてほしい」
といった場合にもご相談ください。
日頃からの運営サポート(顧問契約)
運営指導への対応だけではなく、日頃から適切な事業運営を行うための書類点検や、制度・報酬改定への対応などを継続的にサポートする顧問契約も承っております。
運営指導・書類点検の料金
運営指導の通知が届いた後の直前対策や、通知が届く前に行う書類点検を承っております。
【通知後】運営指導・書類点検(直前対策):198,000円~(税込)
※事業所の規模やサービス種別等により料金が異なります。
詳しいサポート内容やその他の料金については、以下のページをご確認ください。
※運営指導における指摘事項の有無や内容について、結果を保証するものではありません。
行政書士 古山 紀子
行政書士未来法務事務所 代表
行政書士登録番号 第19260974号
令和元年5月1日 行政書士登録
行政書士登録以前から障がい福祉分野に携わり、障がい福祉サービス事業を専門に、指定から運営指導までサポートしています。
→ 代表プロフィール


