令和6年度報酬改定 ~短期入所(ショートステイ)の報酬改定~

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障害福祉サービス事業は、毎年の小改定と3年に一度の大改定があり、令和6年度はその大改定の年でした。

令和5年度までとは大きな改定が行われたサービスと、あまり変わらなかったサービスがあります。

今回の改定で、短期入所(ショートステイ)がどのような改定であったのか気になるところですね。

それでは、順番に確認していきましょう。

 

➡ 令和6年度報酬改定(厚労省)

 

目次

令和6年度報酬改定 短期入所(ショートステイ)の報酬改定情報

基本報酬

福祉型短期入所サービス費

障害支援区分 改定後(R6.4.1~) 現行(~R6.3.31)
福祉型短期入所サービス費(Ⅰ) 区分6 923単位 903単位
区分5 784単位 767単位
区分4 648単位 634単位
区分3 583単位 570単位
区分1及び区分2 509単位 498単位
福祉型短期入所サービス費(Ⅱ) 区分6 602単位 589単位
区分5 527単位 516単位
区分4 318単位 311単位
区分3 240単位 235単位
区分1及び区分2 173単位 169単位
福祉型短期入所サービス費(Ⅲ) 区分3 784単位 767単位
区分2 615単位 602単位
区分1 509単位 498単位
福祉型短期入所サービス費(Ⅳ) 区分3 527単位 516単位
区分2 279単位 273単位
区分1 173単位 169単位

 

福祉型強化短期入所サービス費

障害支援区分 改定後(R6.4.1~) 現行(~R6.3.31)
福祉型強化短期入所サービス費(Ⅰ) 区分6 1164単位 1104単位
区分5 1026単位 969単位
区分4 889単位 835単位
区分3 824単位 772単位
区分1及び区分2 751単位 700単位
福祉型強化短期入所サービス費(Ⅱ) 区分6 844単位 791単位
区分5 770単位 719単位
区分4 559単位 513単位
区分3 483単位 438単位
区分1及び区分2 413単位 370単位
福祉型強化短期入所サービス費(Ⅲ) 区分3 1026単位 969単位
区分2 858単位 804単位
区分1 752単位 700単位
福祉型強化短期入所サービス費(Ⅳ) 区分3 770単位 719単位
区分2 521単位 475単位
区分1 412単位 370単位

 

福祉型強化特定短期入所サービス費【新設】

  • 医療的ケア 児者の入浴支援等、日中のみの支援ニーズに応えるサービス類型を評価する基本報酬が創設されました。
  • 看護職員を常勤で1人以上配置する必要があります。
  • 福祉型強化特定短期入所サービス費(Ⅱ)は障がい児向けのサービス類型です。
障害支援区分 改定後(R6.4.1~) 現行(~R6.3.31)
福祉型強化特定短期入所サービス費(Ⅰ) 区分6 1,107単位 新設
区分5 977単位
区分4 846単位
区分3 784単位
区分1及び区分2 715単位
福祉型強化特定短期入所サービス費(Ⅱ) 区分3 977単位
区分2 816単位
区分1 714単位

 

医療型短期入所サービス費、共生型短期入所サービス費、基準該当短期入所サービス費は省略させていただきますが、全ての類型で現行よりも単価が引き上げられています。

 

各種加算

医療的ケア児者の受け入れ体制の拡充

  • 福祉型短期入所サービスについては、医療的ケア児者を受け入れて対応している場合や、障害支援区分5・6の障がい者を多く受け入れてる場合に、医療的ケアを行う体制を評価するための加算が新設されました。

医療的ケア対応支援加算【新設】 120単位/日

  • 福祉型短期入所サービス費を算定している
  • 看護職員を必要とされる数以上配置している
  • 医療的ケア児者に対しサービス提供を行う

重度障害児・障害者対応支援加算【新設】 30単位/日

  • 福祉型短期入所後サービス費を算定している
  • 区分5・区分6・障害児支援区分3の利用者の割合が50%以上

 

医療型短期入所における受け入れ支援の強化

  • 医療型短期入所サービスの利用を希望する医療的ケア児者に対して、利用する前から、事前に自宅へ訪問し医療的ケアの手技等を確認した上で、新たに受け入れた場合を評価するための加算が新設されました。

医療型短期入所受入前支援加算(Ⅰ)【新設】 1000単位/日

  • 事業所の職員が、利用を希望する医療的ケア児者に対して、事前に自宅等に訪問して医療的ケアの手技等を確認した上で、短期入所を利用した場合に、開始日に算定することができます。

医療型短期入所受入前支援加算(Ⅱ)

  • テレビ電話などを活用して、利用を希望する医療ケア児者に対して、前日までに医療的ケアの手技等を確認した上で、短期入所を利用した場合に、開始日に算定することができます。

 

他サービス共通の改定事項(短期入所関連項目抜粋)

福祉・介護職員等処遇改善加算

  • 令和5年度までは、処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算に分かれていましたが、現行の各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた4段階の「福祉・介護処遇改善加算」に令和6年度6月から1本化されるとともに、加算率が引き上げられます。
  • 新加算(Ⅳ)が基礎となり、その加算額の1/2以上を月額賃金の改善(ベースアップ)に充てることが要件となっています。(R7.4.1から適用)
  • 現在、ベースアップ等支援加算を算定していない事業所でも、1本化後は処遇改善加算を算定するためには、ベースアップが必須になります。
サービス区分 福祉・介護職員処遇改善加算
短期入所 15.9% 13.8% 11.5%

 

重度障害者支援加算の見直し

  • 現行では区分6以上の利用者への支援に対する評価のみですが、改定後は区分4・5の報酬区分が新設されます。
  • 標準的な支援を推進するため強度行動障害支援者養成研修(実践研修)修了者が作成した支援計画シート等により適切な支援を行った場合の評価も新設され、基礎研修修了者を配置することで算定できた加算部分は廃止されます。
  • 行動関連項目の合計点数が18点以上の利用者を受入れて、中核的人材が作成する支援計画シート等により適切な支援を行った場合は、更に加算されます。

重度障害者支援加算(Ⅰ)

(一)区分6かつ行動関連項目10点以上の者等を受入れた場合  50単位/日

※ 実践研修修了者作成の支援計画シートに基づき、基礎研修修了者が支援を行った場合  +100単位/日

 

(二)上記(一)を満たした上で、行動関連項目18点以上の者に対して、中核的人材養成研修修了者作成の支援計画シート等に基づき支援を行った場合  (一)に加え +50単位/日

重度障害者支援加算(Ⅱ)【新設】

(一)区分4以上かつ行動関連項目10点以上の者等を受入れた場合  30単位/日

※ 実践研修修了者作成の支援計画シートに基づき、基礎研修修了者が支援を行った場合  +70単位/日

 

(二)上記(一)を満たした上で、行動関連項目18点以上の者に対して、中核的人材養成研修修了者作成の支援計画シート等に基づき支援を行った場合  (一)に加え +50単位/日

 

集中的支援加算【新設】

高度な専門性により地域を支援する人材(広域的支援人材)が、事業所等を集中的に訪問等し、適切なアセスメントと友好的な支援方法の整理を共に行い環境調整を進め、支援を行った場合の評価が新設されます。

※期間は3カ月を限度

  • 広域的支援人材が訪問等した場合の評価     1000単位/回(月に4回を限度)
  • 状態が悪化したものを受入れた事業所への評価  500単位/日
広域的支援人材
  • 強度行動障害に関する支援困難事例に対して助言を行い地域を支援する人材
  • 発達障害者地域支援体制整備事業(発達障害者地域支援マネージャー)等での配置を想定

 

本人の意思を踏まえたサービス提供(同性介助)

  • 本人の意思に反する異性介助がなされないよう、サービス管理責任者等がサービスの提供に関する本人の意向を把握するとともに、本人の意向を踏まえたサービス提供体制の確保に努めることとなりました。

 

障がい者虐待防止の推進

虐待防止措置未実施減算【新設】

令和4年度から義務化された障害者虐待防止措置を未実施の障がい福祉サービス事業所等に対して、所定単位数の1%を減算することとなりました。

下記の1~3が一つでも出来ていなければ、減算となります。

  1. 虐待防止委員会を定期的に開催するとともに、その結果について従業者に周知徹底をはかること
  2. 従業者に対して、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること
  3. 上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと

その他、虐待防止委員会(身体拘束適正化委員会を含む)において、外部の第三者や専門家の活用に努めることや、都道府県の実施する虐待防止研修を管理者及び虐待防止責任者が受講することが望ましいとされています。

 

身体拘束等の適正化の推進

身体拘束等の適正化の徹底を図る観点から、減算額が引き上げられました。

現行では、基準を満たしていない場合に、1日につき5単位を減算することとなっていましたが、基準を満たしていない場合に、所定単位数の1%を減算することとなりました。

 

➡ 虐待防止・身体拘束適正化について ~令和6年度報酬改定対応~

 

人員基準における両立支援への配慮等

現行では、「育児・介護休業法等」による短時間勤務制度を利用する場合、週30時間以上の勤務でも、常勤として扱うことができましたが、これに加え、「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業所が設ける短時間勤務制度を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として取り扱うことが認められます。

 

障がい福祉現場の業務効率化等を図るためのICT活用等

  1. 一定の条件を満たした場合、管理者は、同一敷地内等に限らず、同一事業者によって設置される他の事業所等の管理者または従業者と兼務できるようになります。
  2. 管理者のテレワークについての取り扱いが示され、一定の条件を満たした場合、テレワークが可能となります。

 

業務継続計画未策定減算【新設】

以下の基準に適合していない場合は、所定単位数を減算する、業務継続計画未策定減算が新設されました。

短期入所の場合は、所定単位数の1%を減算することとなります。

ただし、令和7年3月31日までは、「感染症の予防及び蔓延防止のための指針の整備」及び「非常災害対策計画」の策定を行っている場合は減算されません。

ということは、令和6年4月1日時点で、「BCP計画」が策定されているか、「感染対策の指針」と「非常災害計画」の2点セットが策定されている必要があります。

そして、遅くとも令和7年4月1日までには、BCP計画を策定して、必要な措置を講ずる必要があります。

  • 感染症や非常災害の発生時において、利用者に対するサービス提供を継続的に実施するため及び早期の業務再開を図るための業務継続計画(BCP計画)を策定する。
  • 業務継続計画(BCP計画)に従い必要な措置を講ずる。

 

情報広報未報告減算【新設】

障害者総合支援法第76条の3の規定に基づく情報公表にかかる報告がされていない場合、所定単位数を減算する規定が新設されました。

短期入所の場合は、所定単位数の5%を減算することとになります。

また、都道府県(指定権者)は、指定の更新申請があった場合、申請事業者が情報公表を行っているか確認することとなりました。

WAM NETへの公表ができていない事業所様は、忘れずにご対応ください。

 

食事提供体制加算について

令和6年3月31日までの経過措置とされていましたが、令和9年3月31日まで経過措置が延長されることになりました。

要件の見直しがなされ、次の1~3すべてに適合する場合に、食事提供体制加算が算定可能となりました。

食事提供体制加算 算定要件
  1. 管理栄養士(栄養士)が献立作成に関わること(外部委託可)または、栄養ケア・ステーションもしくは保健所等の管理栄養士(栄養士)が栄養面について確認した献立であること
  2. 利用者ごとの摂食量を記録していること
  3. 利用者ごとの体重やBMIを概ね6ヶ月に1回記録していること

 

その他令和6年4月から義務化される項目

感染症対策の強化に係る取り組み

  • 感染対策委員会の設置と委員会の定期開催
  • 委員会での検討結果を全職員へ周知徹底する
  • 指針の整備
  • 定期的な研修・訓練の実施

➡ 感染対策委員会について詳しく

 

感染症・非常災害発生時の業務継続に向けた取り組みの強化

  • BCP計画(新型コロナ・非常災害)の策定と周知
  • 研修及び訓練の定期的な実施
  • BCP計画の定期的な見直しと必要に応じた計画の変更

 

まとめ

以上が、短期入所の令和6年度報酬改定の概要になります。

短期入所は、全体的に基本報酬が引き上げられ、医療的ケアが必要な利用者の日中のみのサービス累計(基本報酬)が創設されました。

短期入所の改定内容は、事業所様にとって、良い改定だったのではないでしょうか?

令和6年度の報酬改定後も、事業所様が引き続き適正な運営が出来ますように、当事務所では、書類点検、制度研修、委員会設置サポート、ひな型の販売等を行っております。

当事務所が事業所様の転ばぬ先の杖となれましたら幸いです。

 

➡ 取扱業務と料金

 

 

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