令和6年度報酬改定 ~就労移行支援事業の報酬改定~

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令和6年度報酬改定案が先日公表されました。

現在公表されている情報は、令和6年度報酬改定(案)であり、詳細については不明な点が多いです。

公表されましたら、順次内容を加筆修正して更新してまいりますが、現段階では細部の公表がされていないため、一部内容が不十分となっていますことをご容赦ください。

就労移行支援の改定内容は、現時点で公表されている内容を見る限り、良い改定となっております。

それでは順番に、内容を確認していきましょう。

 

➡ 令和6年度報酬改定(厚労省)

 

令和6年度 就労移行支援の報酬改定情報

就労移行支援事業所の利用定員規模の見直し

  • 運営基準及び社会福祉法施行規則における利用定員規模見直し、定員10名以上からでも実施可能となります。
現行(~R6.3.31) 定員 20名以上
改定後(R6.4.1~) 定員 10名以上

最低定員が10名となったことで、新規事業の開始がしやすくなったので、この点は嬉しい変更となりました。

 

基本報酬と加算の見直し

基本報酬

就労移行支援サービス費(Ⅰ)

※利用定員20人以下
(定員10人の場合も同じです)

週力後6月以上の定着率 単位
5割以上 1210単位
4割以上 5割未満 1020単位
3割以上 4割未満 879単位
2割以上 3割未満 719単位
1割以上 2割未満 569単位
0割超  1割未満 519単位
479単位

令和6年度の報酬改定で、基本報酬は全区分の単価が増加しています。

地域連携会議実施加算

地域の就労支援機関等と連携して行う支援計画会議の実施を促進する観点から、会議前後にサービス管理責任者と情報を共有することを条件に、サービス管理責任者以外の者が出席する場合でも加算の対象となるよう見直されました。

また、加算の名称が「支援計画会議実施加算」から「地域連携会議実施加算」に変更されました。

地域連携会議実施加算(Ⅰ) 583単位/回

  • サービス管理責任者が就労移行支援計画等の原案の内容及び実施状況について説明する
  • 関係者に対して、専門的な見地からの意見を求める
  • 就労移行支援計画等の「作成」「変更」「必要な便宜の供与」について検討を行う
  • 1月に1回 かつ 1年に4回を限度

地域連携会議実施加算(Ⅱ) 408単位/回

  • サービス管理責任者以外の職業指導員、生活支援員、就労支援員が、就労移行支援計画等の原案の内容及び実施状況について説明する
  • 関係者に対して、専門的な見地からの意見を求める
  • 就労移行支援計画等の「作成」「変更」「必要な便宜の供与」について検討を行う
  • 事業所のサービス管理責任者に、その結果を共有する
  • 1月に1回 かつ 1年に4回を限度

 

※ 算定については、地域連携会議実施加算(Ⅰ)(Ⅱ)は合わせて1月に1回 かつ 1年に4回を限度となります。

 

他サービス共通の改定事項(就労移行支援関連項目抜粋)

福祉・介護職員等処遇改善加算

  • 令和5年度までは、処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ等支援加算に分かれていましたが、現行の各加算・各区分の要件及び加算率を組み合わせた4段階の「福祉・介護職員処遇改善加算」に令和6年6月から1本化するとともに、加算率が引き上げられます。
  • 新加算(Ⅳ)が基礎となり、その加算額の1/2以上を月額賃金の改善(ベースアップ)に充てることが要件となっています。
  • 就労移行の場合は、新加算(Ⅳ)の1/2(3.4%)以上を月額賃金や手当として従業員に支払う必要があります。
  • 現在、ベースアップ等支援加算を算定していない事業所でも、改定後は処遇改善加算を取るためには、ベースアップが必須になります。
サービス区分 福祉・介護職員処遇改善
就労移行支援 10.3% 10.1% 8.6% 6.9%

 

集中的支援加算【新設】

高度な専門性により地域を支援する人材(広域的支援人材)が事業所等を集中的に訪問等し、適切なアセスメントと有効な支援方法の整理を共に行い環境調整を進め、支援を行った場合の評価が新設されました。

※期間は3ケ月を限度

  • 広域的支援人材が訪問等した場合の評価     1000単位/回(月に4回を限度)
  • 状態が悪化した者を受け入れた事業所への評価  500単位/日
広域的支援人材
  • 強度行動障害に関する支援困難事例に対して助言を行い地域を支援する人材
  • 発達障害者地域支援体制整備事業(発達障害者地域支援マネージャー)等での配置を想定

 

視覚・聴覚言語障害者支援体制加算の拡充

  • 視覚、聴覚、言語機能に重度の障害がある利用者を多く受け入れている事業所において、様々なコミュニケーション手段を持つ利用者との交流にも配慮しつつ、より手厚い支援体制をとっている事業所をさらに評価することとなりました。

同性介助

  • 本人の意思に反する異性介助がなされないよう、サービス管理責任者等がサービス提供に関する本人の意向を把握するとともに、本人の意向を踏まえたサービス提供体制の確保に努めることとなりました。

障がい者虐待防止の推進

虐待防止措置未実施減算【新設】

令和4年度から義務化された障がい者虐待防止措置を未実施の障がい福祉サービス事業所等に対して、基本報酬を1%減算することととなりました。

次の1~3が一つでも出来ていなければ減算となります。

  1. 虐待防止委員会を定期的に開催するとともにその結果について職員に周知徹底を図る
  2. 職員に対し、虐待防止のための研修を定期的に実施する
  3. 上記措置を適切に実施するための担当者を置く

その他、虐待防止委員会(身体拘束適正化委員会を含む)において、外部の第三者や専門家の活用に努めることや、都道府県の実施する虐待防止研修を管理者および虐待防止責任者が受講することが望ましいとされています。

身体拘束適正化の推進

身体拘束等の適正化の徹底を図る観点から、減算額が引き上げられました。

現行では、基準を満たしていない場合に、1日につき5単位を基本報酬から減算することとなっていましたが、改定後は基準を満たしていない場合に基本報酬の1%を減算することとなりました。

 

➡ 虐待防止・身体拘束適正化について ~令和6年度報酬改定対応~

 

個別支援計画の共有

  • 指定基準において、個別支援計画を相談支援事業所へ交付することが義務付けられました。

障がい者の意思決定を推進するための方策

  • 相談支援専門員やサービス管理責任者が行う「サービス担当者会議」「個別支援会議」について、利用者本人が参加するものとし、当該利用者の生活に対する意向等を改めて確認することとされました。

高次脳機能障害者支援体制加算【新設】 41単位/日

次の1~3の要件をすべて満たした場合、加算を算定することができます。

  1. 高次脳機能障害を有する利用者が全体の30%以上
  2. 高次脳機能障害支援者養成研修を修了した従業者を50:1以上で配置
  3. その旨を公表している

人員基準における両立支援への配慮

  • 「治療と仕事の両立ガイドライン」沿って事業所が設ける短時間勤務制度を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として取扱うことが認められます。

管理者の働き方について

  • 一定の条件を満たした場合、管理者は同一敷地内等に限らず、同一事業者によって設置される他の事業所等の管理者または従業者を兼務できるようになります。
  • 管理者のテレワークについての取り扱いが示され、一定の条件を満たした場合テレワークが可能となります。

業務継続計画未作成減算【新設】

以下の基準を満たしていない場合、所定単位数を減算する「業務継続計画未作成減算」が新設されました。

就労移行支援は所定単位数の1%の減算となります。

ただし、令和7年3月31日までは、「感染症の予防及び蔓延防止のための指針の整備」及び「非常災害対策計画」の策定を行っている場合は、減算されません。

  • 感染症や非常災害の発生時において、利用者に対するサービス提供を継続的に実施するための及び早期の業務再開を図るための計画(業務継続計画)を策定する
  • 業務継続計画に従い必要な措置を講じる

情報公表未報告減算【新設】

障害者総合支援法第76条の3の規定に基づく情報公表にかかる報告がされていない場合、所定単位数を減算する規定が新s熱されました。

就労移行支援は、所定単位数の5%を減算することとなります。

また、都道府県(指定権者)は、指定の更新申請があった場合、申請事業者が情報公表を行っているか確認することとなりました。

WAM NETへの公表ができていない事業所は忘れずにご対応ください。

食事提供体制加算の経過措置の取扱い

令和9年3月31日まで経過措置が延長されることとなり、一部要件の見直しがなされ、次の1~3全てに適合する事業所が食事提供体制加算を算定可能となります。

  1. 管理栄養士(栄養士)が献立作成に関わること(外部委託可)または、栄養ケア・ステーションもしくは保健所等の管理栄養士(栄養士)が栄養面について確認した献立であること
  2. 利用者ごとの摂食量を記録していること
  3. 利用者ごとの体重や BMI を概ね6ヶ月に1回記録していること

 

その他令和6年4月から義務化される事項

感染対策の強化にかかる取組み

  • 感染対策委員会の設置と委員会の定期開催
  • 委員会での検討結果を全従業員に周知徹底する
  • 指針の整備
  • 定期定期な研修・訓練の実施

➡ 感染対策委員会について詳しく

感染症・非常災害発生時の業務継続に向けた取組の強化

  • BCP計画(新型コロナ・非常災害)の策定と周知
  • 研修及び訓練の定期的な実施
  • BCP計画の定期的な見直しと必要に応じた計画の変更

 

まとめ

以上が、現段階で公表されている範囲の、就労移行支援の令和6年度の報酬改定の概要になります。

基本報酬が全区分上がったのと、最低定員が10人から開業できるのは、かなり良い改定内容ですね。

利用者の就職後6か月以上の定着率を高い水準に持っていくことができれば、更なる増収となります。

 

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