令和3年度の報酬改定で、就労継続支援A型は「1日の平均労働時間」に応じて報酬を算定していたのが、「スコア方式」での総合評価をもって実績とする方式に見直しが行われました。
スコア方式がどういうものなのか、実績をつくっていく上での参考にしてもらえればと思います。
基本報酬の実績を評価する方法が「スコア方式」になりました
〇スコア方式
従来は「1日の平均労働時間」だけを評価されていましたが、令和3年度の報酬改定で「生産活動」「多様な働き方」「支援力向上」「地域連携活動」の4つの評価項目が加えられ、総合的な評価を実績とする方式(スコア方式)に見直しが行われました。
評価指標 | 判定スコア | |
---|---|---|
労働時間 | 1日の平均労働時間により評価されます。 | 5点~80点で評価 |
生産活動 | 前年度と前々年度における生産活動収支の状況により評価されます。 | 5点~40点で評価 |
多様な働き方 | 利用者が多様な働き方を実現できる制度の整備状況と、その活用実績により評価されます。 | 0点~35点で評価 |
支援力向上 | 職員にキャリアアップの機会を提供し、支援力向上の取組実績により評価されます。 | 0点~35点で評価 |
地域連携活動 | 地元企業と連携した高付加価値の商品開発、施設外就労等により働く場の確保等の地域と連携した取組実績により評価されます。 | 0点~10点で評価 |
〇スコア方式による評価の公表
事業所のホームページなどを通じて、スコア方式による評価内容を全て公表することが義務付けられました。
また、スコア方式による評価を公表していない場合は、15%減算となります。
減算率が高いので、公表は忘れないようにしましょう。
〇7.5:1のサービス費(定員20人以下)
スコア合計点数 | 基本部分 |
---|---|
評価点が170点以上 | 724単位 |
評価点が150点以上170点未満 | 692単位 |
評価点が130点以上150点未満 | 676単位 |
評価点が105点以上130点未満 | 655単位 |
評価点が80点以上105点未満 | 527単位 |
評価点が60点以上80点未満 | 413単位 |
評価点が60点未満 | 319単位 |
在宅でのサービス利用の要件緩和
在宅でのサービス利用について、新型コロナウイルス感染症対策として臨時的に認められていた在宅でのサービス利用を、本人の希望や特性を踏まえつつ、更に促進するため、令和3年度以降は常時の取扱いとすることとなりました。
具体的には、利用者が在宅でのサービス利用を希望することが前提で、在宅での支援効果が認められ、受給者証に在宅での利用について記載のある方が新型コロナウイルス感染症対策に関係なく、在宅でのサービス利用が可能となります。
在宅支援を行うためには、運営規程に在宅支援の記載があることが必要ですので、在宅でのサービス利用を行う予定でしたら、運営規程の変更が必要ですのでご注意ください。
在宅でのサービス利用は、サービスの質の担保がしっかりとなされているのかが重要なポイントであり、それを証明出来るように、記録の整備を心掛けるようにしてください。
加算の新設・廃止・見直し
① 就労移行連携加算の新設(1000単位)※1回限り
就労継続支援A型を受けた後に、就労移行支援の支給決定を受けた利用者が居た場合、その利用者に対して、就労移行支援の支給決定の申請の日までに、就労移行支援事業所との連絡調整、その他の相談援助を行うとともに、支給決定の申請を行うために、A型での支援の状況などの情報を文書により相談支援事業者に対して提供している場合に、1回に限り加算を算定できます。
② 福祉専門職員配置加算の要件の見直し
福祉専門職員配置加算の要件が見直され、作業療法士が追加されました。
社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、作業療法士、公認心理士
③ 施設外就労加算の廃止
多くの事業所が実施し取得していた施設外就労加算が令和3年度より廃止されました。
施設外就労加算が廃止されたのは、事業所さんにとっては痛いと思いますが、施設外就労が出来なくなったわけではありませんので、従来どおり必要な手順を踏んで施設外就労を行ってください。
④ 医療連携体制加算の見直し
従来は、看護の濃度に関わらず、一律単価だったのが、医ケアと非医ケアで単価の適正化がなされました。
➡ 就労継続支援A型の開業方法を解説 – 最低人員や施設要件 –
最後に…
令和3年度の報酬改定は、本当に大きな変革がなされましたね。
A型事業所は、労働時間だけではなく、色々な項目で高スコアを目指していく形となりました。
当事務所が、皆さまのより良い事業所運営の一助となれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。